決して平坦な道のりではなかった。
悔し涙も流すこともあれば、勝利を分かち合う経験もできた。それだけに、4年間ともに汗を流した最高の仲間たちと金星を勝ち取りたい。
「あいつら(仙台大イレブン)は勝つとめちゃくちゃ喜ぶんですよ。それは勝利の喜びをすごく実感できる。大学最後の年っていうのもありますけど、一緒に勝ってあいつらと喜びたい」
と言葉に力を込めた。
この試合は松尾や仙台大イレブンにとって、何よりも大きな財産になるだろう。運命の決戦は選手だけでなく観戦者の脳裏にも深く刻まれるはずだ。
仙台大サッカー部の取り組み
話は変わり、現在仙台大サッカー部は深刻な状況に置かれている。
同大は「会計の透明化」を掲げ、税理士を通して関係者に会計報告を行っている。部活は任意団体のため、本来は報告の義務はないが、吉井監督は堅実なガバナンス(組織統治)を目指している。
「会計の透明化を図ることで、しっかりとしたガバナンスをやっていると示せます。多くの部活動の資金管理は指導者や学生が行っていたため、不安が残るものでした」。
任意団体のために税理士や会計士を雇えない問題に直面することもあったが、税理士と共に学生が会計の指導を受けながら会計処理を行い、クリアな運営を実施している。さらに学生の勉強時間などを確保するために、週休2日を導入して学業と部活動の両立をサポートするなど、他に類を見ない取り組みも行っている。
そして東日本大震災の復興支援を目的に、被災地企業のユニホームの胸、背中スポンサーを無償提供した。学生サッカーの枠を超えた地域密着の社会貢献を続けている。
透明で堅実な運営を精力的に取り組んでいるが、遠征費などの出費が大きな課題となっている。「スポーツはお金がかかります。学生が遠征費を負担する場合もあり、アルバイトをしながら部活や学業に励んでいる学生もいます」と明かした。
遠征では1人5~6万円を負担する場合もあり、全国大会で勝ち進んだ場合は10万円に達することもあったという。
そこで天皇杯・横浜FC戦に臨む学生の負担を少しでも減らすために、クラウドファンディングが立ち上がった。
「選手が横浜FC戦に集中できる環境を整えたい。ご協力をお願いします」と吉井監督。クラウドファンディングは松尾選手のサイン入りオリジナルTシャツや、企業向けの胸スポンサー、背中スポンサー枠の貸し出しなどで寄付を募る。
松尾も「遠征費の負担が大きい状況です。イレブン全員が全力で戦うために、皆さまの寄付を必要としています。ご協力お願いします」。天王山を控える仙台大に、多くの助けが必要とされている。
仙台大サッカー部クラウドファンディング: https://readyfor.jp/projects/sendaisoccer