――MLSでは今シーズン、遠藤翼選手(トロントFC)と久保裕也選手(FCシンシナティ)がプレーしています。日本人選手に対する評価はどんな感じですか?
私自身の仕事がこの掛け橋になることなので、言いづらいことではありますが、正直まだまだ高くなく、伸び代があると考えています。
理由はいくつかありますが、最大要因は日本人という人種で選手を見ていないこと。どこの国であっても「良い選手は良い」とフラットです。ただ、日米ともに欧州を見ているのでまだまだお互いのことを知らない、というハードルは大きいとも思っています。
また、双方とも年俸が決して安くはないので、そこまで出してスター選手が獲れないのであれば中南米から優秀な選手を安価に獲得し、欧州に移籍させるほうがビジネス的にもメリットがあると、MLSでは日本に限らず選手獲得に際してもビジネスの投資観点を用います。
現在、MLSにおける外国籍選手が300名近くおり(※約70か国から移籍!)、平均年齢も27歳と若いので、グローバルに優秀な選手を探しています。ですので、日本人という括りで選手を見るよりはフラットに世界中の選手と比較をしてスカウティングをしています。
――非常にイレギュラーな形となった2020シーズンのMLS、どのような点に注目していけば良いか最後に教えてください!
そうですね。やはり、アメリカらしくオリジナルなアイディアがスピーディに出てくるところはいつも注目しています。
決断が速く、驚くようなアイディアがよく出てきますが、考えて時期を逸するよりは先ずはやってみよう、ダメならやり直そう、というメンタリティは面白いです。
リーグの構造からしてそれを体現していますし、非常に勉強になることも多いなと思います。
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中村武彦/青山学院大学卒業。マサチューセッツ州立大学アマースト校スポーツマネジメント修士課程、及びマドリーISDE法科大学院修了。現・東京大学工学部社会戦略工学共同研究員。NEC海外事業本部を経て、2005年に日本人として初めてMLS国際部入社。2009年にFCバルセロナ国際部ディレクターなどを歴任後、独立し2015年にBlue Unitedを創設。鹿島アントラーズ・グローバルストラテジーオフィサー、MLSコンサルタントなども務める。2012年にはFIFAマッチエージェントライセンスも取得し、2018年にパシフィックリムカップを創設。同年プロeスポーツチームの「Blue United eFC」も立ち上げ。2017年より青山学院大学地球社会共生学部の非常勤講師を務める。著書:「MLSから学ぶスポーツマネジメント(東洋館出版)」
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