躍進のカギを握る“ふたつの決まり事”
鳥栖がスタートダッシュに成功した背景には、金明輝監督の手腕が大きく関係している。2019年5月より再びチームを率いている指揮官は、攻守にそれぞれ決まり事を設けて基本コンセプトを定めることで、ブレない組織を構築中だ。
まず攻撃面での決まり事は、ビルドアップの徹底だ。最終ラインからボールを丁寧に繋ぎ、ボランチが巧みにボールを引き出して、敵のプレスを無効化しながら前線に淀みなくボールを供給。サイドも効果的に活用しながら、有機的な連係プレーからゴールを狙っていく。
ビルドアップ時のキーマンとなっているのが、守護神として堅守を支える朴一圭だ。
好セーブでチームを引き締める背番号40は正確な足元の技術でも大きく貢献。時にセンターバックと同じ位置まで進出して、繋ぎの起点としても機能している。かつて所属したFC琉球、横浜F・マリノスといったポゼッションスタイルを基調とするチームでの経験を存分に活かし、欠かせない存在となっている。
次に、守備面での決まり事を見ていきたい。基本的な守備戦術は、前線からの連動したプレスだ。特にフォワードとミッドフィルダーが見事に連動するプレッシングは一見の価値があり、ポゼッション後の反撃を防いで主導権を握り返すことができているため、良いリズムが途切れないのだ。鳥栖と言えば、かつての尹晶煥体制からハードワークを売りとしているクラブであったが、監督が代わってもその伝統は変わらず受け継がれている。