――FCRを発行する狙いは何ですか。

倉林:シンプルに4年前からアイディアとして持っていたのは、地方の地域スポーツクラブとしてどうしても資金的な問題を常に抱えていて、収入が少ないので強化費が増やせない。とはいえ、同じリーグに所属している大きい予算のチームと試合では対等に戦っていかなければならない。

もしくは、良い選手や監督とかを獲ると、どうしても支出が増えてしまうので、支出が先行してしまうと赤字が続いて経営危機に陥るようなクラブも、毎年少なからず出てきてしまう。そういうのが地域スポーツクラブの、特に親会社を持っていないようなクラブの課題だと思っていました。

そういった資金的な問題を、自分たちで独自のコインを発行して資金調達するという、新しい資金調達の仕方によって解決するというのが1つ大きな狙いではありました。

その上で、FCRコインは使い道がありますので、ファンやサポーターからの応援のレベルとか熱量を、うまくクラブの応援とマッチングさせていくことができるかなと思っています。

具体的にどういうことかと言いますと、今までのファンクラブやファン・サポーターのクラブへの支援は、当然試合会場に来ていただき応援してもらうということもあるのですが、資金的な面ではチケットや年間パスを買っていただいたり、グッズやユニフォームを買っていただく。そういったことで応援していただくケースが多かったと思います。

法人に関しては、数百万円とか数千万円の広告看板とかを出していただいて、スタジアムで企業名を告知するとか、ユニフォーム・練習着に企業名を露出するとか、そういった支援をいただいていました。

ですが、そこで拾えていないファンやサポーターの熱量があったかなと気付きまして、今回、僕らがFCRコインを発行するということで、例えば、僕の知人でもそれなりにまとまった金額分を買わせていただくという方が何名かいらっしゃるんです。

そういう方は昔からFC琉球や選手達を応援してくださっていますし、会社としてもスポンサーしてもらったりしているのですが、個人として看板を出す必要もないですし、沖縄に住んでいなければ試合に行けるわけでもないのでお金の使い道がありませんでした。

今回に関しては、応援している気持ちでコインを購入していただく一方、資産も増えるかもしれない。ひょっとしたら少し値上がりするかもしれない。Jリーグのクラブだからゼロにはならないでしょうし、新しい株式投資みたいな雰囲気で応援してくださる方がいらっしゃいます。

そういう方たちというのは、コインを相応枚数持っていることでさらに応援に熱が入るでしょうし、勝ったら少し値段が上がるとか、順位が上がったらちょっと値段が上がるとか、降格圏を出たらまたちょっと値段が上がるとか、プレーオフ圏内に入ってまた値段がちょっと上がったとか。

資金的な部分と応援の熱量がすごくマッチングしてくるというのが、新しい応援の在り方としては出てくるんじゃないかと思います。そういうのが2つ目の狙いです。

琉球フットボールクラブ株式会社代表取締役社長の倉林啓士郎氏(©FC RYUKYU)