コンセプトを体現するキーマンたち

指揮官がコンセプトを体現するうえで欠かせないのが、自身の理想に適った選手たちである。本セクションでは、チームを支えるキーマンたちを紹介していきたい。

まずは、エースのチアゴ・アウベスだ。清水エスパルス、サガン鳥栖、ガンバ大阪を渡り歩いてきたストライカーは、開幕から3トップの左ウイングに定着。中央または2トップの一角にポジションを移してもシャープな左足の破壊力は変わらず、37節を終えてリーグ2位の16ゴールをマークするなど充実のパフォーマンスでチームをけん引する。

切れ味鋭いドリブルに加え、意外性のあるロングシュートは“飛び道具”となるだけに、終盤戦でのさらなる活躍に期待だ。

そして、DFながらチーム3位となるリーグ戦6得点をゲットしているバイスも不可欠な存在である。

前所属の京都サンガでも奮闘していたファイターの実力はリーグ屈指で、鋭い縦パスとロングフィード、タイミングをずらした頭脳的な直接フリーキック(第3節・栃木SC戦)など攻撃センスは新天地でも健在。本業の守備でもタイトなチャージで攻撃の芽を摘んでおり、8月度のリーグMVPに輝いた背番号23は頼もしい大黒柱だ。

中盤に目を移すと、ふたりのルーキーがインパクトを残している。

FC町田ゼルビア所属の佐野海舟を兄に持つ高卒ルーキーの佐野航大は、インサイドハーフ、ボランチ、トップ下、ウィング、ウィングバック、サイドバックを高レベルでこなすマルチロールとして指揮官の信頼を掴んだ。U-19日本代表にも選出されている有望株は、日本のこれからを担うプレーヤーになる可能性を秘めている。

早稲田大学から加入した田中雄大は正確なパスワークとプレースキックがストロングポイントであり、ピッチを駆け回る運動量も大きな強み。エリア内へ侵入する動きも巧みで、小柄ながらヘディングのセンスもある万能型MFは、1年目から確かな存在感を示している。