「タイトル獲得のお手本」と呼ぶべき動きとは?

神戸と町田の優勝を支えたのは、複数の得点源を用意するチームづくりの妙だ。

両チームともリーグMVPに輝いた大迫勇也(神戸/22ゴール)、エリキ(町田/18ゴール)が絶対的エースとして君臨したが、神戸は武藤嘉紀(10ゴール)と佐々木大樹(7ゴール)、町田はミッチェル・デューク(10ゴール)と藤尾翔太(8ゴール)が随所で活躍。

絶対的エースに「頼り切り」の状況を避け、複数の得点源がネットを揺らしたことが、相手に的を絞らせない多彩な攻撃につながり、それがタイトル獲得をもたらした。

また、ケガ人というアクシデントにもたくましさを見せたのが、今季の神戸と町田だ。

神戸は第3節のガンバ大阪戦でDF菊池流帆が全治約8ヶ月の負傷、第24節の柏レイソル戦でMF齊藤未月が全治約1年の負傷とショックが大きい長期離脱があった。

町田も第31節の清水エスパルス戦でFWエリキが全治約8ヶ月の重傷を負い、こちらもダメージは大きかった。

ケガ人に関して、両クラブのフロントは迅速な動きを見せる。神戸は町田からDF高橋祥平を期限付き移籍で獲得し、町田もFWアデミウソンを補強。齊藤の穴は扇原貴宏が埋めてみせ、来日後は苦しんだアデミウソンも、最終節のベガルタ仙台戦で加入後初ゴール。

現有戦力の奮闘で危機を乗り越えた神戸、辛抱強い起用で結果につなげた町田と指揮官のマネジメントも冴えた。

そして、両クラブはシーズン途中の積極的な補強にも動いた。

神戸はリンコン&日髙光揮の復帰に加えて、8月に新井瑞希を期限付き移籍で獲得。セルジ・サンペールとアンドレス・イニエスタの退団後には、バーリント・ヴェーチェイとフアン・マタを迎え入れた。

一方の町田も、前述したアデミウソンのほか、バスケス・バイロン、鈴木準弥、松本大輔と各ポジションに実力者を獲得。バスケスに関しては、青森山田高時代に指導した黒田監督の存在がアドバンテージとなり、東京ヴェルディから異例の“引き抜き”に成功した。