(今回のアジアカップは日本にとって10年以上ぶりにあなたがいない大会だった。あなたのようなリーダーシップを取り戻すには何が必要か)
僕らの世代の日本選手たちも同じようにつらい経験をした。だから、いまの選手たちがどう反応するかを見たい。大事なことは全ての選手が、特にプレミアリーグやブンデスリーガでプレーする選手たちが、疲労を感じることなく代表に合流すること。彼らが精神的・肉体的に充電できるように手助けすることが重要だ。
(いまは欧州トップリーグに多くの日本人がいるが、先駆者のひとりであるあなたは欧州にいる多くの若手をどう見ているのか)
そのことはとても嬉しい。これは自分が最初から望んでいたものだ。自分が名古屋グランパスから移籍する直前の2010年には誰もがこう言っていた。『不可能だ。アジア人のセンターバック?英語も話せない。フィジカル的に小さすぎる。これまで誰もやれていない。若すぎる』と。人々は常にネガティブなものを見つけるものだ。だからこそ自分は欧州に行きたかった。いま多くのアジア人が欧州にいるのが見られてとても嬉しい。
(逆に言えば、欧州にいるアジアのスター選手が代表チームで期待に応えるのはどれほど難しいのか)
W杯で日本代表は多くのポゼッションはできないが、アジアではほとんどの時間で自分たちがボールを持つ。これが最大の違いだ。また、代表チームでは一緒に練習する時間もあまりない。長いフライトに時差ボケもある。それでもリヴァプールの遠藤航やアーセナルの冨安健洋ならパフォーマンスを期待される。韓国代表のソン・フンミンも毎試合3ゴールを期待されている。それは人々が思っているよりもはるかに大変なことだ。一方、西アジアの国々は、代表チームのために国内リーグを延期する。彼らはリーグ戦を中断し、代表チームのトレーニングキャンプを長く行う。その準備で全てが全く違ってくる。
(代表でのパフォーマンスが誇張されることで世間から厳しい目に晒されることが多いアジアの若手選手たちにアドバイスはあるか)
それは大きな問題だ。メンタルヘルスは大きな問題、特にいまはSNSがものすごく大きいからね。自分もW杯期間中やイタリア、ドイツ、イングランドで多くの批判を浴びた。僕らはSNSをデトックスしなければいけない時もある。SNSと現実との間に適切な距離をとる必要がある。それはとても重要なことだ」
日本代表は2022年ワールドカップ後も森保監督が続投。
吉田は30代のベテラン勢がほとんどいなくなったことを指摘していた。