この事態が影響したか、フロントは驚きの補強を実現させる。アルビレックス新潟で主力としてプレーしていた新井直人の獲得(完全移籍)を3月21日に発表したのだ。
新井自身も「本当に、このタイミングでの移籍というのが今までのサッカー界であまりなかったというのも当然聞いていますし、そこはわかった上で決断いたしました」と加入会見で語った通り、シーズン開幕から約1ヶ月後に主力級の選手が同一カテゴリー間で移籍するのは異例だろう。
もちろん、背番号13の加入がチームにもたらすモノは非常に大きい。新天地では両ウィングバックでの起用が予想されるが、3バックのストッパー起用も大いにあり得る。「複数のポジションで質の高いプレーをできることが最大の長所」と本人も会見でコメントしており、指揮官の様々な起用に応えるに違いない。
今季の広島は、リーグ戦・天皇杯・ルヴァンカップに加えて、AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)と4つのコンペティションを戦う。第2節・FC東京戦では、「スタートで出たメンバーのパフォーマンスに非常に満足していた」ことから交代枠を使わなかったスキッベ監督も、連戦となれば積極的に交代カードを切るはず。選手起用の選択肢を増やす意味でも、新井は重宝されそうだ。
一方で、前線はドウグラス・ヴィエイラが右膝の治療のため、3月14日にブラジルへ一時帰国。中盤は今夏に満田誠または川村拓夢が海外クラブへ移籍する可能性も十分あり、仮に移籍となればダメージは大きい。
スキッベ体制3年目を迎え、ハイプレスを軸とした戦術の完成度はリーグNo.1だ。新スタジアム元年をタイトルで彩るには、「ケガ人や移籍による戦力低下をいかに避けるか」がカギを握るだろう。
指揮官の采配に加えて、新井の獲得で“本気度”を示したフロントの動きにも注目したい。