鹿島の育成組織一筋

鹿島の育成組織に小、中、高と所属し続けてきた前田は、高校時代はキャプテンを任されてチームの主軸として活躍し続けてきた。鹿島ユース卒団後は仙台大に進学。1年次からトップチームで頭角を現し、今季は絶対的な主力センターバックとして君臨している。進路は関東の大学を選ばず、仙台大を選んだ理由は明確だった。

「自分の考えの中で、関東の大学にもちろん行きたい思いは自分の中でもあったし、そこで試合に出ることがベストでしたけど、高校3年間はやってく中で鹿島でもやっていたし、他のJリーグのクラブの選手たちを見てもレベルが高いところでやらせてもらってた中で、関東に行って大勢人数が入っている中でやっぱ出られるのかと考えたときもあった。

そのタイミングでちょうど仙台大の吉井さん(総監督)から「うちでやってみない?」と話をもらって練習来たときに参加できなかったんですけど、見学したときに自分がどんどんチャレンジして良さを出させるところが自分はすごくいいなと思って、仙台大を選びました。

プロを目指したいというのもあるので、プロを目指せる大学で一生懸命サッカーできて、試合にも入学するときからトップチームに入れてもらえるという話があったので、去年から試合に出させてもらえています。

その選択は間違ってなかったと思うし、全国で関東の大学に負けないようにしっかり上の結果を出せるようにと毎日取り組んでいます」と胸を張った。

今年5月末にU-20全日本選抜のメンバーに選出され、アジア大学サッカートーナメントに全4試合(先発出場3、途中出場1)に出場して決勝の韓国選抜を1-0で打ち破って大会2連覇に大きく貢献した。

「去年明治とインカレでやって個のある選手たち、プロ行く選手としてやった中でやれた部分と全然駄目だったなっていう部分があった。全日本選抜に行って関東のレベルの高い選手たちと地方から集まった選手たちとしてやらせてもらった中でやれる部分を感じた。そこで試合にも出させてもらったので、自信と経験をしっかり持ち帰って、ここで日ごろからやれていると思います」

地方の大学で早くから出場機会を得て活躍するという青写真通りの道筋を歩んでおり、大学選抜で大きな経験を手にした。

プロ志望の前田は2年後の未来も明確に描いている。志望するクラブはキャリアの大半を過ごした日本屈指の名門だ。

「自分は2年後に卒業して鹿島に戻りたいです。アントラーズでという思いが1番強いので、自分はずっと鹿島にいたので、大卒からでも高卒からでも鹿島に入ってくる選手は、日本一の選手が入ってくると思っています。ここに来るときに全日本選抜出場など、しっかり1個、1個を地に足つけてやっていく中で、そこにつながればいいなという気持ちが自分の中にあります」と言葉に力を込めた。

仙台大から日本一のセンターバックとなって古巣へ復帰するビジョンは明確であり、険しい道を歩む覚悟はできている。

既に全国大会出場を決めている富士大と今月13日午後1時30分にみやぎ生協めぐみ野サッカー場Aグラウンドで対戦する。来月中旬には総理大臣杯本大会が開催される予定であり、準備期間も僅かだ。だが背番号19はそんな状況でも臆せず、堂々としている。

「チームとしても上を狙っていきたい。やるからには優勝を目指してやりたいと思っている。ここあと2か月弱くらいありますけど、しっかり準備してもっと個人も含めて高めていかなきゃいけないなと思います。僕個人としても全国大会はJリーグのスカウトにアピールできる場所だと思っている。個人の価値もしっかり求めながらチームの結果と同じぐらい、自分がいいプレーを続けることができたら、チームの勝利につながってくると思うので、個人の価値を高めながらやっていきたいです」とチームと個人のさらなる成長を目指す。

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一歩、一歩と着実に歩んで結果を出してきた仙台大の守備の要は全国大会でどのようなステップを刻むのか。憧れの鹿島に舞い戻るために、荒波を超えながら突き進む前田の航海を見逃すな。

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