『眠れる獅子を起こしてしまった』
後半9分にコーナーキックを与えてしまうと、今度は仙台のDF菅田真啓がヘディングシュート。GK鈴木椋大が一度はセーブするも、跳ね返ったボールをFW中島元彦がオーバーヘッドぎみに右足で突き刺し再びリードされてしまう。なんとしてでも勝利が欲しい千葉にとって痛恨の極みだった。
千葉は後半20分に佐々木のヘディングシュートで同点に追いつくも、あと1点が遠い。小森もプレッシングをかけ続けるが、仙台のビルドアップに苦戦し、試合は2-2のままでこう着状態が続いていた。
ゲームが動いたのは後半31分のことだった。途中交代で入ったMF田口泰士から左サイドバックのDF日高大にボールが渡ると、フリーの日高は落ち着いてクロスを上げる。そのボールに頭で合わせたのは不調のエース・小森飛絢だった。
「大くんからいいボールがきたので、自分が空けていたスペースにしっかりと走りこんで頭で合わせることができたので良かったです」と語るゴールシーンは、磨き続けたオフザボールの賜物。喜びを爆発させる小森を仲間たちも祝福する。「決定力不足」の重圧を背負っていたエースストライカーが魅せた8試合ぶりの『ジェフ三唱』は、フクアリが自信を取り戻した瞬間であり、チームを勝利に導く一撃だった。
「最高です。悶々とした気持ちはめちゃくちゃありましたし、早くゴールしてチームを勝たせたいという想いがあった。ようやく自分のゴールで勝たせられたんじゃないかと思っています」と小森は腫れ物が取れたような表情だ。
エースのゴールによって一気に勢いづいたフクアリ。後半40分には岡庭がタッチライン際でボールを残すと、佐々木からのパスにまたしても小森が反応。右足で放ったシュートはネットを揺らしスコアは4-2。試合はそのまま終了し、背番号10はかねてより課題として挙げていた複数得点をキャリアで初めて達成した。
試合後、仙台の森山佳郎監督は「点を1番与えてはいけない選手に与えてしまった」とコメント。そのうえで「千葉さんは、ここ数試合悩んでいる風でしたが、きょうのゲームは『眠れる獅子を起こしてしまった』というゲームだった。千葉さんの良さが全開のゲームでした」と相手チームに賛辞を贈った。 仙台戦をもって今季得点数を12に伸ばしたエースは、得点ランキングでも3位に浮上。
「複数得点は自信につながりましたし、これからもっとゴールを量産して、得点王とJ1昇格を叶えられるようにまた頑張っていきたいですね」と15ゴールで1位の谷村海那(いわきFC)を追いかける。
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勝利した千葉は8位で勝点を40とし、J1昇格プレーオフ圏内へ望みをつないだ。次戦はレゾナックドーム大分で行われるJ2第29節大分トリニータ戦となる千葉。復活のエースと共に、公式戦3連勝を飾りたい。