帰ってきたベテラン

今季関西社会人1部FC BASARA HYOGOから完全移籍で加入したDF秋吉泰佑は、2022年シーズン所属以来のチーム復帰を果たした。チームの代表業務の一部もこなす背番号33はこの日ゲーム形式練習でフリーマンとして入り正確な左足で精度の高いパスを見せながらチームを鼓舞していた。

秋吉は「BASARAでは昨季全部の試合に出ていて、チームからずっと『残ってくれ』と言われていました。色々な関係性と、ここのクラブから『来てくれ』という話が強かった。その思いに賭けて来ました。

以前監督を務めていた岡田(真之介)と選手時代一緒にやっていて『ぜひ力になってほしい』と。僕も選手上がりで直ぐに監督になることは不安もあるし、実際チームをまとめられるか分からないことが一つありました。

岡田のために頑張ろうとも思いましたね。今後クラブをJリーグのチーム、上のカテゴリーに押し上げるのに『来てくれ』という話を野々山代表とも話して『行く』という決断に至りました」と復帰の経緯を明かした。

「ひっそり海外組」という欧州主要リーグ以外でプレーする選手を称するネットミームがあるが、秋吉はその「ひっそり海外組」の中でも伝説的な偉業を達成した選手の一人だ。

シンガポールリーグ1部アルビレックス新潟シンガポールでプロキャリアを始め、2011-12年シーズンにブルガリアの名門である同国1部PFCスラヴィア・ソフィアに加入し、同リーグ初となる日本人選手となった。翌シーズンに元日本代表の松井大輔さんが加入し、日本人コンビとして共闘。2014-15シーズンにはオーストリア屈指の強豪の同国1部シュトゥルム・グラーツでプレーした。

「そういった経験を下のカテゴリー含めて、(トップカテゴリーも)若い選手が何人かいます。僕が持っているものだと、ACLに出たこともあったので、そういう経験は他にないと思う。(経験を還元なども含めて)チームに貢献できればと思っています」

海外の実績を引き下げて2015年に当時J1ヴァンフォーレ甲府へ移籍し、その後はJ2ファジアーノ岡山、JFLラインメール青森、ヴァンラーレ八戸のJ3参入に貢献するなど日本でも大きな足跡を残した。

同クラブは地域のアカデミーやスクール事業をするチームとして発足し、2015年にトップチームを立ち上げた。刈谷市、知立市との地域密着、選手育成を掲げてJリーグ参入を目指している。

「まずは『地域に応援されるようなクラブ』になることですね。クラブとして『アカデミーが1番』を掲げています。

アカデミーの子供たちの模範となるような、アカデミーの子たちがサッカーの面、生活の部分で成長していく最終形態がトップチームです。トップの選手たちはすべてできているという形でトップチームが存在する。

そういった地域の方、アカデミーの子たち、そして応援してくれるたくさんの方のために、wyvernの価値を上げつつ、Jリーグを目指すようなクラブに一歩、一歩やっていきたい。そのための力になりたいです」と意気込んだ。

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チームは24日に同じ刈谷市をホームタウンとするFC刈谷に1-2で敗れ、地域CL出場の可能性が厳しい状況になってしまった。ただ二人のベテランはその先を見据えてこのクラブに多くのものを残そうと日々奮闘している。wyvernを高みへと導く魂のレフティー秋吉、鉄人GK常澤の活躍を今後も追っていきたい。

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