戦争で一変したウクライナのサッカー
イギリス人労働者によって1800年代後半に持ち込まれ、150年近い歴史を持つウクライナのサッカー。
イタリア1部ACミランで活躍したFWアンドリュー・シェフチェンコやイングランド1部アーセナルDFオレクサンドル・ジンチェンコ、レアル・マドリーのルニンといった世界最高峰の選手を多く輩出している。さらにディナモ・キーウやシャフタール・ドネツクといった国内の強豪クラブもUEFAヨーロッパリーグなどの国際試合で存在感を示していた。
2012年には欧州選手権がポーランド、ウクライナで共催され、大会開催に向けて国内のスタジアムが新設、改修された。同選手権では世界中から観客を集め、ウクライナ国内は熱狂に包まれた。
こうした歴史的背景もあり、旧ソヴィエト連邦構成国の中でもウクライナ人のサッカー熱は飛び抜けている。
だが、そうした状況は2022年2月に始まったロシアの軍事侵攻で一変した。
相次ぐ空襲警報、停滞した物流網、スポンサー企業の撤退…ウクライナのサッカーはありとあらゆる困難に直面している。
──ウクライナは以前からロシアから攻撃を受けていましたが、全面侵攻(2022年2月)以前にその影響を感じたことはありますか。(注釈:厳密には正規軍による侵攻などは実施されていないが、新露派武装勢力への支援、サイバー攻撃などは2014年のヤヌコーヴィチ政権崩壊後から盛んに行われていた)
「戦争が始まる前、私がいたチームはユースのリーグで3位でした。その前のシーズンは優勝していて、チームもスポンサーもみんな頑張っていました。
これから『もっと勝とう、頑張ろう』という雰囲気で、誰も戦争のことは考えていませんでした...」