[第103回全国高校サッカー選手権、準決勝、東福岡高(福岡県代表)1-3前橋育英高(群馬県代表)、11日、東京・国立競技場]

準決勝が11日に国立競技場で行われ、東福岡高は前橋育英高に1-3で逆転負け。9大会ぶりの決勝行きを逃した。

今大会は無失点で勝ち上がってきた赤い彗星。この試合ではFW伊波樹生(いは・たつき、3年-casa okinawa U-15)が先制点を奪い、前半は相手のシュートをゼロ本に抑え込む堅守を形成できた。ただ後半はその堅守が嘘のように崩壊し、同3分に失点を許すと、立て続けに得点を奪われた。試合後、卒業後の進路が未定の背番号9は支えてくれた人たちへの感謝を口にするとともに、自身の将来についても言及した。

仲間を信じて走った進路未定のストライカー

先制点を決めた背番号9は「この選手権次第でサッカーを続けるか決めるつもりでした。ベストはプロに呼ばれることだったんですけど、それがかなわなかった。サッカーをやるか、やらないか決めていませんが、いろいろな人と話し合って決めていこうと思います」と進路が決まっていない中で、この大舞台に懸けていた。

9大会ぶりの決勝進出を目指す東福岡高は、伝統のサイド攻撃からチャンスを生み出した。

前半11分に右サイドでMF塩﨑響(3年-UKI-C.FC)がフリーでボールを受けると、落ち着いてゴール前へグラウンダーのクロスを供給。相手GKの前に勢いよく飛び込んできた伊波が右足でワンタッチシュートをゴール左サイドネットへ流し込み、赤い彗星が華麗に先制した。

ストライカーは「監督(平岡道浩監督)があそこを狙えと言ってくれました。『走れ、信じて走れ』と言われていたので、しっかりと得点を決めることができました」と、チームメイトとの連係プレーで今大会2ゴール目を記録した。

先制点に歓喜する伊波(右)

前半は身体を張ったディフェンスや素早いプレスで相手の自由を封じ、相手にシュートを1本も打たせなかった。福岡県予選では3得点を奪い、チームを3大会ぶりの選手権出場に導いた伊波は、ポストプレーでチームの攻撃をけん引。ワンタッチプレーでリズムを生み出し、追加点を狙った。

だが後半になると、ここまで無失点で準決勝へと進出してきた東福岡高の堅守は噓のように決壊した。ボールを保持する東福岡高だったが、後半3分にクリアボールを相手FWにカットされると、そのまま失点。この同点弾が呼び水となり、後半9分、同13分と続けざまに失点してリードを許した。

ボールをキープする伊波(中央)

試合はそのまま1-3で終了。赤い彗星の背番号9は「ゼロで抑えてくれたからここまで来られた。自分が得点を取って勝たしてやりたかった」と唇を噛みながらも、「3年間を振り返って、これ以上できなかった気もするし、他にもいろいろできたとも思う。なにが正解か分からないですね…。それでも、ここまで来られたのは両親や支えてくれた人、あとは応援席にいた上田(康介)というライバルのおかげだと思います」と家族や切磋琢磨したチームメイトへの感謝を口にした。

赤い彗星、東福岡高校出身のサッカー選手「最強の5人」

赤い彗星のストライカーの気持ちはいまだに定まっていない。サッカーを続けるかどうかの答えはすぐに出せないかもしれないが、それでも最後に「正直、不完全燃焼というか、まだやり切れた部分があった」と言い残し、聖地・国立から去っていった。

(取材・文 浅野凜太郎、写真 Ryo)

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