Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊コラムの中坊氏によるコラムをお届けします。


サッカー界ならではの素晴らしい制度、連帯貢献金

1月27日、ついに発表された日本代表FW古橋亨梧のレンヌ移籍。

フランス紙『Le Parisien』や『L'Équipe』での事前報道によれば、古橋の移籍に際し、フランスのレンヌからスコットランドのセルティックへ1200万ユーロ(約19億5,000万円)の移籍金が支払われるという。

過去、2021年にヴィッセル神戸からセルティックへ移籍した際に神戸へ支払われた移籍金は5〜7億円と報道されたが、ヨーロッパで4年間、確かな実績を積み、神戸-セルティック移籍時からは実に3倍近くの金額で古橋はリーグ・アンへ移籍することとなった。

その際、国内サッカーファンとして気になる点は、連帯貢献金がいくら支払われるのか、というポイントだ。

連帯貢献金は、FIFAの規約に基づく国際ルールであり、満12歳から23歳までに所属した全てのクラブに対して移籍金に応じた金額を分配するもの。古橋の場合、23歳まで在籍していたFC岐阜、中央大学、興國高校等に連帯貢献金が支払われる。

実際にいくら受け取るのか、金額は以下の通りである。

・興國高校(1.5%)2,925万円 
・中央大学(2.0%)3,900万円
・FC岐阜(0.5%) 975万円

《内訳》

2010年 興國高校 16歳 0.5% 975万
2011年 興國高校 17歳 0.5% 975万
2012年 興國高校 18歳 0.5% 975万

2013年 中央大学 19歳 0.5% 975万
2014年 中央大学 20歳 0.5% 975万
2015年 中央大学 21歳 0.5% 975万
2016年 中央大学 22歳 0.5% 975万

2017年 FC岐阜 23歳 0.5% 975万

つまり、国内の各クラブ、学校法人へトータル約8,000万円が支払われる

今回、スコットランドから国外であるフランスへの移籍だったことも幸いした。

このルールは同一国内への移籍時には支払われないため、例えば2024年に伊藤洋輝がシュトゥットガルトからバイエルン・ミュンヘンへ高額移籍した際はドイツ・ブンデスリーガ内の移籍であったため、ジュビロ磐田に連帯貢献金は支払われない。(※1/29追記:実際には「海外移籍した選手が、その後同一国内移籍した場合でも連帯貢献金は支払われることが判明したため、訂正します)

古橋の場合も、仮に国内移籍だったらFC岐阜らに連帯貢献金は支払われないこととなるところだった。(以前マンチェスター・シティへの移籍報道がなされたが、もしあの時移籍が実現した場合は、同じイギリス国内ではあるがサッカー協会がイングランドとスコットランドで異なるため、連帯貢献金は発生)

レンヌへの移籍であるがゆえに、トータル8,000万円近くの金額が国内各クラブに支払われることとなる。

なお、2021年に神戸からセルティックに移籍した際、移籍金は5〜7億円と報道されたが、仮に最高額の7億円として計算した場合の連帯貢献金は以下の通りである。

・興國高校(1.5%)1,050万円
・中央大学(2.0%)1,400万円
・FC岐阜(0.5%) 350万円

《内訳》

2010 興國高校 16歳 0.5% 350万
2011 興國高校 17歳 0.5% 350万
2012 興國高校 18歳 0.5% 350万

2013 中央大学 19歳 0.5% 350万
2014 中央大学 20歳 0.5% 350万
2015 中央大学 21歳 0.5% 350万
2016 中央大学 22歳 0.5% 350万

2017 FC岐阜 23歳 0.5% 350万

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古橋を育てたことにより、二度の移籍に伴いトータルで興國高校は約4,000万円、中央大学は約5,300万円、FC岐阜は1,300万円を手にすることとなる。古橋は古巣へ大きな恩恵を授けた。

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