常勝軍団を支え合った先輩との対決
この日札幌を指揮した岩政監督は鹿島で共に戦った先輩であり、常勝軍団を長きに渡って支え合った仲だ。岩政監督が鹿島で指揮を執った際に、土居主将はトップチームのキャプテンを務めていた。
指揮官は「彼が選手時代から僕は先輩と後輩(の関係)です。その後、コーチ、監督としてもキャプテンを(土居に)任せました。山形に来て、最後にもう一花、二花咲かせてほしいと思う選手の一人であります」と、試合後の監督会見で後輩にエールを送った。
試合後に岩政監督と会話した土居主将は「(岩政監督が)『山形の現状はどう?元気か?』と話をしまして、お互い苦しい順位にいるので『お互い苦しいよね』という話をしました」と、先輩は後輩を最後まで優しく気遣っていたという。
選手、コーチ、監督として長い付き合いがある偉大な先輩に対して「(岩政監督が)現役時代も一緒にやらせてもらって、コーチ、監督としても指導していただいて、たくさん思い出があります。僕のサッカー経験を育ててくれた方なので、 きょうもプレーで見せれられたら良かったですけど…。結果というところでは負けてしまいましたけど、アウェイに行ったときは頑張っている姿を見せて楽しみにできればと思います」と恩返しを誓った。
日本屈指の名門で主将を務めた男は、故郷のチームでキャプテンマークを巻いている。常勝軍団で育った土居主将は先輩たちから多くを学んできた。今度は背番号88が山形のイレブンに自身の経験を還元する。
「僕が見てきたキャプテンの先輩方は、言葉で縛りつけるようなキャプテンは1人もいなかったです。 背中で、プレーで、ピッチで見せるというところが、ここぞというときに頼りになるというところを、(歴代の)キャプテンのみなさんがそうだった。 自分も普段べらべらおしゃべりするよりも、みんなが苦しんでるとき、困ってるときに、ピッチ内外で僕の経験を伝えられればと思っています」とプレー、振る舞い、結果で仲間たちに伝える構えだ。
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次節は6日午後2時にホームで大分トリニータと対戦する。土居主将は「すべて勝つしかないので、勝つための準備をしっかり切り替えてやるだけだと思います」と言葉に力を込めた。5試合ぶりの勝ち星奪取に向けて、山形の新主将を筆頭にイレブン一丸で全力で戦い抜く。
(取材・文 高橋アオ)