欧州トップレベルを参考にしたプレスで新境地開拓へ
試合を通じて計16本を数えた清水のゴールキック。後方からビルドアップを試みたアウェイチームの前に、小田が立ちふさがった。
湘南の背番号9は相手ゴールキックになれば、鋭い眼光で相手ゴールキーパーをにらみつけ、ニヤリと笑みを浮かべた。その姿はまるで獲物を狙う猛獣のようだった。
試合後、小田は「あれはデンべレです」と、昨季UEFAチャンピオンズリーグを制覇したパリ・サンジェルマン(リーグ・アン)のフランス代表FWウスマヌ・デンべレを参考にしていたと明かした。
「試合前のミーティングでパリ(パリ・サンジェルマン)の映像を観せられて、そこで世界のトップ選手でも、ハンターのようにボールを追っていると再確認しました。きょうはそこ(プレス)の執着心を出そうと思っていましたし、デンべレに感化されたんです」
クラブで背番号10を背負うデンべレは、チャンピオンズリーグを優勝した勢いそのままに、今夏に行われたFIFAクラブワールドカップ2025では、圧巻のパフォーマンスを披露。持ち味だったドリブルはもちろん、相手ゴールキックの場面では迫力満点のプレスで敵軍のミスを誘発していた。
この日、小田はデンべレを彷彿とさせるプレスを披露。2度追い、3度追いを繰り返し、前線からの守備に貢献した。
「プレスの意識はもともとありましたが、もっと自分のスピードやスプリントを生かしたプレスを考えたい。プレスの行き方を含めて、湘南に来てから徐々につかめている」と手ごたえを口にした。
背番号9はファーストディフェンダーとしての新境地を開拓している。チームメイトたちとのコンビネーションも向上しており、あとは結果がほしい。
小田は「収穫とまでは言いませんが、フォワード陣やボランチ、ウィングバックとの連係は築けてきている。これまでの試合と違って、そこは出せましたし、チャンスも作れた」と湘南での初得点に燃えている。
次節は今月19日午後7時からホームでJ1セレッソ大阪と対戦する。
小田は「1試合1試合を全力でやることが大事。その先に残留や結果があると思うので、まずは次の試合に向けて準備していきたい」と、お目覚めの一撃はもうすぐだ。
(取材・文・写真 浅野凜太郎)