若きディフェンスリーダーが守備を立て直す
城和はプレー以外でも存在感を示していた。よく通る声で絶え間なくコーチングを繰り返し、守備の穴をふさぎ続けた。スペースが空けば味方選手を誘導し、急所ができれば背番号22自身がカバーに入る。チームメイトと連係しながら堅守を構築した。
26歳の若きディフェンスリーダーは「直近で試合に出ているセンターバックは自分だと思っているので、(監督の)横内(昭展)さんが僕に何を求めているのか常々考えてプレーしています。自分が連続して試合に出てるということは、自分が引っ張らなきゃいけないと思っている。年齢は関係なく周りの選手を動かすことができたと思います。チームを鼓舞するという部分でも、誰かが走るときにすごくいい雰囲気ができていたと思うので、継続しながらやっていきたいです」と胸を張った。
柏レイソルのアカデミー、法政大を経てザスパクサツ群馬でプレーした城和は、ビルドアップやロングフィードに定評のある攻撃的なセンターバックだ。守ればクレバーなカバーリングなどを見せてきたが、この日の背番号22は時折激しく、泥臭い守備で相手の攻撃を食い止め続けた。
「センターバックの選手としての価値は、ビルドアップ以外の部分がすごく大きいと思う。まずは自分が守るというところ。体を張ってゼロで抑えれるところを見せないと、センターバックの価値は上がらないと思う。そこは山形に移籍してから、すごく意識している部分です」と明かした。
力強さと賢さを兼ね備えた隙のない守備―。これまで失点を重ねてきた山形にとって城和の好守はカンフル剤になりそうだ。
5月6日に開催された大分トリニータ戦以来となるホーム白星を1万546人の観客が見届けた。現在残留争いの渦中にあり、山形イレブンは申し訳なさを抱えながらプレーしていた。城和もまたこの日の勝利をファンに捧げることができて安堵(あんど)の表情を浮かべていた。
「たくさんのサポーターの方が応援に来てくれていると思います。勝ってサポーターの方々を素晴らしい気持ちで山形に帰っていただくために、自分たちも戦わないといけないと思います。今シーズンはすごく苦しい思いをさせてしまっている中で、きょうもたくさんの方が応援してくれている。パワーを結果で表現したいと思っています」とサポーターへの感謝を口にした。
次節は23日午後7時にアウェーで徳島ヴォルティスと対戦する。リーグ最少14失点の堅守を誇るチームとの対決に、城和は静かに闘志を燃やしている。
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「先に失点すると厳しいと思います。こうやってゼロの流れができてきているので、また次もゼロで終える」とキッパリ。次節も城和を筆頭に隙のないディフェンスラインで完封勝利へと導き、ここから山形は反撃ののろしを上げる。
(取材・文 高橋アオ)