日本代表指揮官へのアピールは考えず

指揮官から「俺たちは逆転できる」とピッチに送り出された柏イレブンだったが、垣田の姿はなかった。

「だいぶフィーリングが良かったんですけど、ゼロ対2という状況で前線を代えるのは当たり前のことですし、自分のポジションにはレベルの高い選手がそろっている」と背番号18はベンチへ退いた。

ホームチームは前半同様にボールを回し続け、浦和の体力を削り取っていった。徐々に足が止まり始め、守備にほころびが出始めた相手にオフェンス陣が畳みかけた。

後半9分には、垣田と代わってフォワードの位置で出場したMF瀬川祐輔が、左サイドからのクロスボールを混戦の中でトラップして右足を振り抜き1得点差に迫った。

さらに同38分にはFW細谷真大が同点弾を奪取。中央で瀬川とのコンビネーションを披露した背番号9は、左足シュートをゴールに突き刺した。

それぞれ1得点を記録した瀬川(中央左)と細谷(中央右)

目の前でライバルたちが躍動した。

垣田は「もちろん同じポジションの選手が活躍すると、悔しさもあります」と素直な気持ちを明かしたが、すぐさま「誰が得点を取っても勝てばいい」と口にした。

「後半は、前半からずっと打ち続けたジャブが効いてきたんだと思います。前線の押し込んだり、収めたりするプレーや、守備で追って相手を休ませない部分が後半から効いてくると思うので、やっていることは間違っていないと思います。

ゴールやアシストをしたいからといって、他のことをやり始めてしまうとチームは上手くいかない。いまは自分のやっていることをやりながら、フォワードとしての精度を上げていきたい」と言葉に力を込めた。

垣田

柏は同45分にMF小西雄大が放った左サイドからのロングシュートで逆転。さらに同51分にも1得点を追加し、4-2の逆転勝利を収め、暫定首位に浮上した。

次節は31日午後7時からホームでアビスパ福岡と対戦する。

この日は日本代表の森保一監督と名波浩コーチが視察に訪れていたが、「前半は負けてしまいましたが、アピールとかを考えてやっているわけじゃない。自分はチームが勝つために毎日、毎日走りたいと思います」と、垣田は屈託のない笑みを浮かべた。

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「まずは先のことを考えずに、目の前の1試合1試合をやっていく」と、柏の背番号18がJ1優勝へのアクセルを踏んでいる。

(取材・文 浅野凜太郎)

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