[J2第28節、ジェフユナイテッド千葉 2-1 ヴァンフォーレ甲府、8月30日、千葉・フクダ電子アリーナ]
千葉は甲府を破り、今季4度目の逆転勝利を飾った。
右サイドバックで出場したMF髙橋壱晟(いっせい)は的確な判断とビルドアップでチームを助けた。また失点後は、イレブンに呼びかけるリーダーシップを見せた。
息を吹き返すきっかけとなった背番号2の号令
立ち上がりから続いていた嫌なムードを払拭できないまま、失点を許した。
千葉は前半17分に自陣中央で甲府MF田中雄大に前を向かれると、そのままドリブル突破を許した。同選手から供給されたラストパスを甲府FW内藤大和に決められ、先制された。
アウェイチームに押し込まれる厳しい展開だった。自陣からのパスは相手に引っ掛かり、セカンドボールでも拾え切れず。前半だけで被シュート13本を浴びる猛攻を受けた。
右サイドバックで先発出場していた髙橋は「きょうの試合は、立ち上がりからみんなの意識がそろっていない感じでしたし、多分みんなも『うまくいかないな』と感じていたと思う」と危機感を抱いていた。
だからこそ、すぐさま呼びかけた。
失点後、背番号2は肩を落とすイレブンを自陣ボックス前に集合させた。既にセンターサークル内で待機していたFW森海渡には『こっちに来い』と言わんばかりの手招きで号令をかけた。
「チームの意識や考え方を共有しなければいけないと思っていました。思ったよりも真ん中にパスを刺されていたので、自由にやらせてしまった。きょうは一回、自分たちの目線をそろえる必要があると思ったから、みんなにお願いをして話し合いました」
髙橋はここまでリーグ戦26試合に出場。不動の右サイドバックとして昨季リーグ戦37試合に出場していた“ミスター・ジェフ”は、この試合でも安定のパフォーマンスを披露した。
攻めれば長短を織り交ぜたパスで敵軍のプレッシャーをかいくぐり、守れば的確なポジショニングと気迫あふれるプレーで、チームに勢いを与えた。
「あれ(話し合い)をやってから少しずつ持ち直したと思うから、必要だったのかなと思います」と、髙橋の号令をきっかけにチームは息を吹き返した。
前半25分にFWカルリーニョス・ジュニオのリーグ戦3試合ぶりのゴールで同点に追いつくと、後半3分には同選手からのパスをMFイサカ・ゼインが左足シュート。一度はポストに弾かれたが、今度は右足で押し込み逆転に成功した。
その後も試合の主導権を握った千葉は、後半に12本のシュートを放ち甲府を圧倒。惜しくも追加点を奪えなかったが、そのまま2-1で勝利した。
次節は9月14日午後7時からアウェイの維新みらいふスタジアム(山口)で、J2レノファ山口FCと対戦する。
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髙橋は「気合いが空回りすることもあるかもしれませんし、コンディションや気持ちの変化は試合によって多少なりとも変化するものだと思います。それでも、残り10試合になったこの状況で集中力がないわけないんです。この状況で『やりたくない』とか、『キツい』とならずに、僕は常に成長を求めてやれているので、サッカー選手でいられている」と、J1復帰へのラストスパートを駆け抜ける。
(取材・文 浅野凜太郎、写真 繩手猟)
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