富山入団の決め手は“熱量”
総理大臣杯決勝の前日である12日に、富山は湯之前の来季入団内定と、今季の特別指定選手登録を発表。Jリーグの特別指定選手登録期間最終日の発表に、Jリーグファンを中心に様々な反響があった。
天皇杯でJ1チーム相手に2度の番狂わせを起こした東洋大の背番号10には、多くのJリーグクラブが獲得に興味を示していた。
総理大臣杯終了後までオファーを待てば、進路の選択肢が増える可能性があったが、特別指定選手登録期間が12日までだったこともあり、最後は富山入団を「思い切って決めた」と言う。
富山を選んだ一番の決め手は、「やっぱり熱量。自分を一番欲してくれるクラブだと感じました。練習参加の最終日に即日オファーをくれたので、そこは自分にとって決め手になった」と明かした。
同選手は続けて「オファーをいただいた後も、特別指定選手の登録期間の関係もあったので、(富山の)強化部の方に『悩んでいます』と素直に話しました。その中で強化部の方が、『いま富山がああいう状況でチャレンジできることはない』『逆にお前が救ってみろ』と言われて『じゃあ、やってやろう!』という強い覚悟を持って富山に決めました」と、富山の熱い呼びかけに応えた。
プロ内定発表がされた翌日に行われた決勝戦ということもあり、東洋大の背番号10へ普段以上に注目が集まった。
湯之前自身も、プレッシャーを感じていたという。
「昨日、発表があった中で、(いつも以上に)見られることは分かっていました。気にしないようにと、試合前からずっと考えていました。ただ、試合中も気にしてしまった部分もあったので、そこはまだ自分が未熟で弱いと感じました。力が入ってしまったし、見られ方も気にしてしまい、弱さが出たゲームかなと」と、反省を口にした。
今後は東洋大で大学関東1部優勝、インカレ連覇を目指しながら、富山の特別指定選手としてプロの舞台で経験を積むことが目標だ。
「関東(1部)リーグで自分たちは6位ですし、下位との勝ち点差が4つぐらいしかない中で、やっぱり自分たちの目標は関東リーグ、インカレを獲りたい。また一から積み上げていくしかないと思います。
(富山入団内定は)かなりすごい反響があったと感じていますが、まだ何も成し遂げていない。『プロでやれるか』と言われたら、自信を持って『YES』と言えるレベルにはないと思う。そこは日々トレーニングで向き合いながらプロでやるという意識を持って練習していけたらなと」と謙虚ながら、熱い闘志をのぞかせた。
いま最もアツい東洋大学!海外組増加中のサッカー部出身「最強の5人」
東洋大を優勝に導いたレフティのさらなる成長に目が離せない。
(取材・文 縄手猟)