[2025JリーグYBCルヴァンカップ決勝、サンフレッチェ広島 3-1 柏レイソル、11月1日、東京・国立競技場]

広島がJリーグ杯決勝で柏を3-1で下し、2022年以来2度目の優勝を達成した。

この試合で2得点に絡むロングスローを披露したDF中野就斗はタイトル獲得を喜びながらも、「もっと投げたい」とさらなる高みを目指している。

野球選手を目指していた男の先制点アシスト

背番号15の強肩が火を吹いた。

右ウィングバックで先発出場した中野はサイドで上下動を繰り返しながら、広島の好守を支えた。

サイドを駆け抜けた中野

前半の立ち上がりから柏にボールを握られ、ゴール前に侵入されていた広島イレブンだったが、右サイドでスローインを得ると、前半25分に中野が「小さいころは野球選手を目指していたので、肩には自信があります」と、驚異のアシストを披露した。

背番号15の両腕から勢いよく発射されたボールはぐんぐんと伸びていき、約45メートルほど離れた相手ゴール前に到達。これを日本代表DF荒木隼人が相手GKの頭上からヘディングで叩きこみ、広島が先制した。

先制点決めた荒木が「きょうは中野の肩がすこぶる良かったみたいで、いつもよりいいボールが飛んできました」と目を丸くするほどの、見事なロングスローだった。

先制点を頭で決めた荒木

スローインでのアシストを記録した中野は「しっかりと強いボールを投げれば、中には強い選手がたくさんいたので、得点につながると思っていました」と仲間たちと喜びを爆発させた。

広島がJリーグ杯初優勝を成し遂げた2022年大会決勝戦は、テレビから見守っていたという中野。「本当に国立はポジティブに捉えています。きょうの応援を見たら全然負ける気がしなかったので、自分たちの応援は本当に背中を押してくれる」と、広島サポーターの声援を力に変えた。

その後、MF東俊希の直接フリーキック弾で2-0にした広島は、前半47分にダメ押しの3得点目を奪取。再び中野のロングスローが起点となった。

ビルドアップに貢献した中野

同選手のスローインは大外で待っていたFWジャーメイン良へつながり、これを広島の背番号9が左足ボレーで突き刺した。

「自分のやるべきことはチームを助けること。守備や攻撃以外でも、ああいうロングスローからでも得点を取れれば、チームとしても助かると思うので、そういうところからもしっかりとチームに貢献したいです」

前半のうちにセットプレーから3得点を奪った広島は、後半36分に1得点を返されるも、堅実な守備で逆転を許さず。試合はそのまま3-1で終了し、広島が3年ぶり2度目のJリーグ杯王者となった。

対人で強さを発揮した中野(左)

野球選手さながらの強肩で、広島をタイトル獲得に導いた中野は「やっぱりタイトルをもっと、もっと取りたいと思いました。この素晴らしいサポーターや選手、監督とスタッフとともに、もっとタイトルを取っていきたい」とすぐさま次を見据えた。

広島は今月4日午後7時にAFCチャンピオンズリーグエリート(ACL)のグループステージでKリーグの江原FCとエディオンピースウイング広島で対戦。ACLをはじめ、J1リーグと天皇杯が残されている広島の戦いは続く。

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試合後、自慢の肩を念入りにアイシングしたと明かした中野が、「もっと投げたい」と中2日の連戦を前に意気込んだ。

(取材・文 浅野凜太郎、写真 縄手猟)

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