[2025JリーグYBCルヴァンカップ決勝、柏レイソル 1-3 サンフレッチェ広島、11月1日、東京・国立競技場]
柏はJリーグ杯決勝で広島に1-3で敗れ、2013年以来3度目の制覇とはならなかった。
この試合でフル出場したMF小屋松知哉は1アシストを記録したが、試合後には悔しさをにじませた。
この経験をJ1制覇に生かす
「広島さんの方が上だった」
試合後、小屋松は目を充血させながら唇をかみしめた。
リカルド・ロドリゲス監督の下、2013年以来3度目のJリーグ杯制覇を目指した柏。リーグ戦では魅力的なポゼッションサッカーを展開し、第35節終了時点で2位につけている。
「今年は新しいチームで、新しいスタイルに挑戦していますし、サッカーの内容に関しては自信を持っていた。だから僕たちのスタイルで、タイトルという結果を出したかったというのが正直大きかったです」と、積み上げてきたものをファイナルの舞台でも発揮したが、広島が上手だった。
柏は前半からボールを支配して相手ゴール前に迫るも、決定機を作らせてもらえず。対する広島は前半25分にロングスローから先制すると、同38分と同47分に追加点を奪った。
すべてセットプレーからの失点だった。
「向こう(広島)はセットプレーで仕留めてくる認識はあったんですけど、うまくやられてしまったのは僕たちの弱さ」と警戒していたものの、ゴールを許してしまった。
小屋松は、この日も左サイドから攻撃の起点となり、自身も果敢にシュートを放ったが、ゴールをこじ開けられず。それでも後半36分には日本代表FW細谷真大(まお)が奪った意地の1得点を極上の縦パスでアシストしたが、試合はそのまま1-3で終了した。
「リーグ戦ではなくて一発勝負ということを考えれば、特に前半はゼロで抑えないといけなかった。チームとしてタイトルを経験していない経験値や、一発勝負での戦い方や勝負強さは、いまのチームにないところだった」
決勝戦を制した広島が歓喜する姿を横目に崩れ落ち、銀色のメダルを首から外した小屋松。
今季は公式戦42試合3得点12アシストを記録して、柏の躍進を支えてきた男がこの悔しさを糧にすると誓った。
「きょうの経験は僕自身の選手生命においても、チームにとっても大きい敗戦だったと思う。チーム全体が若いので、タイトルを逃した代償はありますが、この経験をリーグに生かしていかないといけない」
積み上げてきたものは間違っていないはずだ。あとは結果だけがほしい。
2011年シーズンぶりのJ1制覇を目指す柏は、今月8日午後4時からホームの三協フロンテア柏スタジアムでJ1名古屋グランパスと対戦する。
「幸いにもまだリーグを取れる位置にはいる」と目の奥が輝いた。柏と小屋松の今シーズンはまだ終わっていない。
(取材・文 浅野凜太郎、写真 縄手猟)