5月12日にアルベルト・ザッケローニが読み上げた23人の名前は、概ね筆者の予想通りだった。ただ、大きな驚きがあったとすれば、やはり大久保嘉人のサプライズ選出だ。昨シーズンのJリーグ得点王であり、今シーズンも好調を維持するストライカーが滑り込みで選ばれた経緯とそこから見えてくる“変化”とは何だろうか。
・予想外だった“ボランチ4人・アタッカー8人”
多くのメディアが事前にメンバー予想をする中、筆者も脳内で“完全予想”に興じていた。しかし、実のところ、筆者は大久保が選出されるとは考えていなかった。もちろん、可能性としては十分あると思っていたものの、南野拓実(後に予備登録メンバーに選ばれた)、工藤壮人の方が選ばれる可能性が高いと考えていたのだ。
むしろ、筆者はアタッカーが8人も名を連ねるとは思っていなかった。筆者の予想では、ボランチが5人(遠藤保仁、長谷部誠、山口蛍、細貝萌が当確。残る一枠は青山敏弘もしくは高橋秀人)で、アタッカーは7人(本田圭佑、香川真司、岡崎慎司、清武弘嗣、柿谷曜一郎、大迫勇也が当確。残る一枠を齋藤学、南野拓実、工藤壮人、大久保嘉人が争う)だった。しかし、実際にはボランチが4人(遠藤、長谷部、山口、青山)で、アタッカーが8人(本田、香川、岡崎、清武、齋藤、大久保、柿谷、大迫)だった。
・サプライズは大久保だけでなく・・・
少なからず驚きだったのは、大久保のメンバー入りだけではない。ヘルタ・ベルリン(ドイツ)で中心選手として活躍している細貝の落選(後に予備登録メンバーに選ばれた)もなかなかのサプライズだった。
今シーズンの細貝は、昇格組のヘルタで文字通りキーマンとして奮闘していた。中盤の底でボールを奪うだけでなく、的確なつなぎでチームの潤滑油的な存在として機能した細貝の活躍は見事であり、チーム最多のリーグ戦33試合に出場した事実からも細貝の充実ぶりがうかがえた。
代表戦での細貝は試合を終わらせるための“守備固め”としてザッケローニに重用されてきた。当然、本大会でもリードした展開で起用されることが予想されていただけに、落選は意外である。最近の代表戦では、山口や青山の方が存在感を示していたとはいえ、なぜザッケローニは細貝を23人に選ばなかったのだろうか。そして、なぜボランチを5人にしなかったのだろうか。