◎過去の一覧から改めて予想する

では最後に、各大会の決勝戦の主審を全てご覧頂きましょう。

<表2>W杯全大会での決勝戦主審一覧


※1950年は、優勝決定戦となった決勝リーグ(FL)最終戦のブラジル-ウルグアイ戦を決勝戦として扱った。
開催国の主審は国籍をオレンジ、同じ大陸の主審は国籍を黄色の地で表示。
GL(R)はグループリーグの再試合、GL(PO)はグループリーグのプレーオフ。

第二次大戦での中断を挟んで、第11回の1978年アルゼンチン大会まで、4度の南米と1度のメキシコ(北中米)開催も含めて全て欧州諸国の審判が担当していました。その後は南米(CONMEBOL)から3回連続で選ばれ、1994年のアメリカ大会からはUEFAとそれ以外から交互に割り当てられてきました。なので、今回は普通に考えればUEFA以外から選ばれるはず。これもウェブを本命には推せない理由の一つです。

また、開催国の主審が選ばれたのは1938年フランス大会のジョルジュ・カプデヴィルのみで、1974年西ドイツ大会のジャック・テイラーを最後に開催国と同じ大陸から選ばれた事もありません。なので、CONMEBOLからの選出はないだろうと思っていましたが、あの準決勝はそんな前例をも覆すほどの大事件。FIFAはブラジルサッカーに救いの手を差し伸べるのでしょうか?

そして、これを見るとやはり、AFCの悲願をイルマトフでかなえるのが一番理に適っているように見えます。本当は西村と書きたいのですが、2試合目が決勝になったのは1982年スペイン大会のアルナウド・セザル・コエリョ以降ありません。2006年のオラシオ・マルシオ・エリソンドが4試合、前回のウェブも3試合やらせての指命だったように、今回もみっちりと4試合で準備し、さらに南アフリカでは準決勝のウルグアイ-オランダを担当していたイルマトフの出番ではないでしょうか。

さあ、いずれにしてもあと2試合。世界一のチームはどっちか、それを裁くのは誰か、楽しみに待ちたいと思います。


筆者名:駒場野/中西 正紀

プロフィール: サッカーデータベースサイト「RSSSF」の日本人メンバー。Jリーグ発足時・パソコン通信時代からのサッカーファン。FIFA.comでは日本国内開催のW杯予選で試合速報を担当中。他に歴史・鉄道・政治などで執筆を続け、「ピッチの外側」にも視野を広げる。思う事は「資料室でもサッカーは楽しめる」。
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