-2次予選前の直前キャンプで日本遠征を行いましたが、ここではどんなことを強化ポイントとして考えていましたか?
乗松「ホームで2次予選が開催されないと決まっていたので、同じような期間で4連戦を行うことでアウェイでの経験を積ませたいと思いました。要するにシミュレーションです。それまでに、戦術とフィジカル強化をベトナム国内で終わらせておいて、日本では実践を通して、レベルの異なる4チーム(1部、2部、大学生、高校生)を相手に一戦毎にその成果を落とし込んでいきました」
-強化試合で対戦した日本の各チームとベトナム代表の間に、技術的または戦術的なレベルの差がありましたか?
乗松「個人のところ言えば、やはり差はありますが、それで、やりづらいということはなく、勝ち目の薄い相手にどれだけ自分たちの持てる力で対抗できるかという訓練のために行ったわけですから、それでこちらが混乱するということはありません。レッズレディースとの試合を観た日本サッカー協会の人たちも、こんなにベトナムの選手がやれるとは思っていなかったと驚いていました」
-ベトナム女子代表監督に就任して、半年余りが過ぎましたが、就任当初に見えた課題としてはどんなものがありましたか?これはその後、改善できていますか?
乗松「プレーのことで言うと、状況判断しながらプレーするということが非常に苦手でしたが、これは具体例を挙げながら指摘して練習してきたことで、徐々に改善してきています。なかなか改善できないこととしては、古くから根付いてしまっている、それまで良しとされてきた慣習を外国人監督がいきなり180度変えるということは、やはり難しいものがあります」
「練習について言えば、どういうものを求めているかを色々な情報で与えました。映像で見せて、練習でやって、口頭で説明してということを習慣化させました。ただ、本当にサッカーの質を理解するためには、まだまだ成熟が必要だと思います。そのためには、現在閉鎖的になっていますが、選手の移籍も考えないといけません。今は自分の所属クラブの監督と代表チームの監督が求められるものでしか対比ができませんから。選手がキャリアアップを目指せる仕組みが必要です」
-来年2月の最終予選は、乗松監督の母国日本で開催されます。契約更新は未定で、最終予選の指揮を執るかどうかも、まだ確定していないとの情報もありますが、現在はどのような心境でしょうか?
乗松「ベトナムのサッカーを発展させるために来たのであって、予選を勝つために選ばれた指導者ではないと思っています。こうすれば、もっと良くなるというアプローチを続けてきたつもりですが、ベトナムの選手や協会が、このやり方で付いて行きたいと思うかどうか。勝っても、このやり方では面白くないと思われたら、それで仕事はなくなるわけで、これまでの仕事をこの国がどう評価してくれるのかに非常に興味があります。もし、(引き続き)やれれば光栄に思うし、意気込みが湧いてくるのは間違いないですが、今はニュートラルな状態でいるよう努めています」
記事提供元:「リオ五輪2次予選突破を決めたベトナム女子代表乗松監督に直撃インタビュー@Vietnam Football」