後半のセビージャ。
システム変更で同数プレシッングからの解放を図るサンパオリ。外から外による展開とSHによるチャンネル(SH-CH)狙い。デザインは見えるのだが、ピースとなるフランコ・バスケスのパフォーマンスの低下が著しくて効果的とは言えなかった。
後半から修正するサンパオリは、今シーズン実に効果的な采配をしていると言える。サンパオリとリージョの修正力は確かなものである。
だからこそ、これほどの好成績を収めているわけであるが、選手の特徴とポジションの兼ね合いによってハーフタイムまでは我慢の展開を強いられることも少なくない。ハーフタイムさえ挟めば大きなテコ入れが出来るが、シメオネ・アトレティコのような試合中にフレキシブルに対応できるほどの仕込みはまだ無い。
セビージャはクラネビッテルとエンゾンジを共存させる上で大事なファクターとして、後者を高い位置に動員したいという意図は見える。だが、クラネビッテルを助ける動き(3-2のボール保持)が無い。そもそもボールを運べないというジレンマ。クラネビッテルにも問題はあるが、この列移動をチームではナスリのみに与えてきたツケを払うことになった。
ナスリの動きによるビルドアップのデザインに比べて、大きく質が落ちるのは明白であり、不在時の欠陥を埋める役割がカバーされていないという現実を露呈した。
サンパオリとリージョのタッグだからこそ、もう少し練度を上げて仕込めそうであるが、そのスタイルに合った選手がいるかという問題もある。
ここまで選手=ナスリ依存度の高いデザインを敷いているため、時間が解決してくれるものなのかどうかは分からない。戦術の中に個人能力をハメ込むという点で、ナスリのフリーロールは際立っている。セビージャの生命線といっても過言ではない。しかし、それが依存へと変わるのは危険かもしれない。