CB:三浦弦太(ガンバ大阪)

昨年まで所属していた清水エスパルスでも一定の評価を得ていたが、ガンバ大阪に移籍を果たした今季、彼の知名度と評価がうなぎ上りだ。急成長を見せている若手を数多く抱えるJリーグだが、「ここ一年で最も評価を上げた一人」と評しても過言ではないだろう。

日本人離れした類稀な跳躍力、正確で豪快なロングフィードを特長に挙げる声は多いが、筆者が注視しているポイントは“その一つ前”にある。

空中戦では、単純に「ジャンプ勝負」に持ち込むのではなく、相手選手の力量や距離感に合わせて飛ぶタイミングを調節し、22歳にして「駆け引き勝負」を敢行。また、ロングフィードの場面では、そのキックの質もさることながら、「まず遠くを見る」という意識の徹底がうかがわせるルックアップを試合を通して継続。ディフェンダーの選手は、どうしても近いところに視点が行きがちなものだが、彼のこの“癖”は、その他多くの選手と一線を画している。

他にもインターセプトに誘い込むための巧妙なポジショニング、1vs1の場面でボールホルダーにスピードを乗らせないための間合いの詰め方など、ベテラン選手が見ていても勉強になる動きは多く、「一つ一つのアクションに将来性を感じさせる」希少な逸材である。

CB:奈良竜樹(川崎フロンターレ)

これまで不運なタイミングでの怪我により、立身出世の機会を失ってきたイメージが強いが、今季はその鬱憤を晴らすかのようなパフォーマンスを見せてくれている。

特筆すべきは対人戦の強さで、空陸を問わずに信頼に値。己よりも恵まれた体躯を備えた外国人選手を相手にしても十二分に渡り合う力強さは、「日本人センターバック」としては最高峰にある。

しかし、彼が決して力任せなフィジカルモンスターでないことも欠かさずに触れておこう。人に対する強さもさることながら、局地戦のバトル以外では、積極的なコーチングで周りを動かしているからだ。これは、20歳に満たない時からベテランDFたちにも躊躇なく声を掛けてきたキャラクターが成せる技の一つと言えるかもしれないが、この性格は実力者がひしめく日本代表においても大きな武器になると言えるだろう。

今季はアルビレックス新潟から舞行龍ジェームズが加入するなど、チーム内の競争相手のレベルもアップした。ここまではレギュラーポジションを掴んでいるが、まずは、ライバルとの競争にしっかりと勝ち、「川崎フロンターレになくてはならない存在になること」が当面の課題か。

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