RB部門

キーラン・トリッピアー(イングランド)

フォーメーションを考えると「3-5-2」のウィングバックで起用されていた彼をピックアップするのは不適格かもしれない。だが、多少強引にでもピックアップする価値があるほど、キーラン・トリッピアーの貢献度は群を抜いていた。

「セットプレーありき」とも揶揄されることも少なくなかった今大会のイングランド代表だが、それでも勝ち進めたのは高精度のプレイスキックでチャンスを創出し続けたトリッピアーの右足があったからこそ。また、セットプレー以外でも抜群の走力を活かして右サイドを制圧した点も特筆に値するポイントだ。

また、このポジションはその他のポジションと比較しても「群雄割拠」という印象が強く、次点選出も迷うところであったが、ベルギーのトマ・ムニエと天秤にかけた上で「攻守両面における安定感」を評価し、クロアチアのシメ・ヴルサリコとした。

LB部門

ヤン・ヴェルトンゲン(ベルギー)

こちらも厳密に言うと、左サイドバックを主戦場とはしていない。

だが、ベルギーが可変式の3バック(守備時には左センターバックが左サイドに開き、サイドバックのような位置取りを取ることが多い)を敷いていたこと、また試合によっては左サイドバック(左ウィングバックも)でプレーしている時間帯もあったことから、ヤン・ヴェルトンゲンをこの部門で選出することにした。

今大会では、元々定評のあったボール配給能力やインターセプト能力はもちろんのこと、フレキシブルなシステムにも柔軟に対応できる戦術理解度の高さも披露。準備期間が限られている中、監督のロベルト・マルティネスが、対戦相手や時間帯によって戦術を調整することが可能だったのは彼のような選手を擁していたからだ。

また、次点はメキシコのヘスス・ガジャルドを。こちらもヴェルトンゲンと同様に難解なタスクをソツなくこなし、グループリーグ突破に影なら貢献した。とりわけ、「今大会における番狂わせ」の一つとなったドイツ戦でのパフォーマンスは対峙するヨシュア・キミッヒの存在感が忘れさられるほど圧巻のものであった。