OMF部門
エデン・アザール(ベルギー)
アントワーヌ・グリーズマン(フランス)
チームの結果こそ三位であったものの、エデン・アザールが放った異彩は「大会一位」に推しても差し支えないレベルにあった。
大会途中に基本戦術を変え、カウンターに重きを置いたベルギーであったが、この攻撃をキーマンとなっていたのが彼。自陣が送られるボールを受け取り、長距離ドリブルも幾度となく敢行。「取れそうで取れない」その技巧には、相手守備陣もなす術はなく、対戦する全てのチームが手を焼いた。
そしてベルギーと少し似通った勝ち上がりを見せたフランスの中で、アザール級の活躍を見せたのがアントワーヌ・グリーズマンだ。
試合の趨勢を自力で決められる能力を秘めながらも、レアル・ソシエダ、アトレティコ・マドリーで得た「チームのために闘う」をポリシーを胸に、利他的なプレーでフランスにエネルギーを与え続けた。キリアン・エンバッペの個人能力が着目されることは多かったが、彼があそこまで自由にプレーできたのは、グリーズマンというプレーヤーがその脇を支え続けたからである。
また、今大会のワールドカップはセットプレーが勝敗を分けるシーンも少なくなかったが、そこでもアザールとグリーズマンが大きく貢献したことも触れざるを得ないであろう。前者はドリブルによるファール奪取、後者はプレイスキックの場面でも何度も“違い”を見せた。
VAR(ビデオアシスタントレフェリー)の導入により、今後はセットプレーが勝敗を決める試合が増加することが予想されるが、彼らのように「巧みにファールをもらう技能」、「正確なプレイスキックを蹴る技能」を持ったプレーヤ―はより重宝される時代となるかもしれない。
ちなみに次点だが、大会途中にセントラルミッドフィルダーからトップ下にポジションを移してより脅威を与えたケヴィン・デ・ブライネ(ベルギー)。そして、大きく株を上げたアンテ・レビッチ(クロアチア)。さらに、残念ながらベスト8敗退でロシアを後にしたものの、常に可能性を感じさせるプレーを見せたフィリペ・コウチーニョ(ブラジル)も選びたい。