吉田豊
サガン鳥栖
DF
28歳
168cm/69kg
これまでユース年代を除いて日本代表に縁がなかった選手ではあるが、Jリーグを追っているものであれば、彼が「日本最高峰のサイドバック」であることは、言わずもがなの話だろう。
対峙した選手が「抜ける気がしない」と舌を巻くほどの圧倒的な対人能力はずば抜けたものがあり、一度自分の間合いに持ち込んでしまえば、実力十分のサイドアタッカーですら封殺されるレベルだ。
また、攻撃面も年々レベルアップしている印象があり、今季は数字の面では寂しい(ここまで1ゴール1アシスト)ものの、組み立ての面での貢献度は高い。中盤の福田晃斗らとの連携から左サイドの奥深くまで進入して、「キーパスの一つ前の仕事」を巧みにこなすシーンも少なくない。
そして、筆者は彼の日本代表入りを推す一人だが、その最大の理由はユーティリティ性を持っている点である。
森保ジャパンは初戦では4バックを選択したが、サンフレッチェ広島や五輪監督時代に好んで使用していた3バックを採用するケースは想定され、現代サッカーのトレンドである「試合中に3バックと4バックを使いこなす」という戦術を取り入れるケースも考え得るだろう。
そうなれば、サイドバックとウインバックを高水準でこなせる選手が重宝されるが、そこで活きてくるのがサガン鳥栖で両方のポジションで起用されているという吉田の利点だ。さらに彼の場合は、右サイドも清水エスパルス時代に経験しており、両サイドバックと両ウイングバックへの対応可能というボーナスまで付いている。
このポジションには安西幸輝(鹿島アントラーズ)、山中亮輔(横浜F・マリノス)らを筆頭に活きの良い「未来の代表候補」が控えているが、現時点でより計算が立つのは吉田ではないだろうか。