そんな川崎フロンターレが2020シーズンに取り組んでいるのが新システムだ。

昨季までの4-2-3-1から4-3-3へフォーメーションを変更。得意のポゼッションで前に人数をかけつつ、ボールを奪われた瞬間から相手に襲いかかる攻撃的な守備に磨きをかけ、今季ここまで公式戦で4勝1分、14得点3失点と強さを見せている。

驚くべき点は、相変わらず「走っていない」ことだ。以下は4節終了時点での1試合平均の走行距離ランキング。

■J1 2020シーズン走行距離

1 119.298km 横浜FM

2 117.608km 湘南

3 117.514km 名古屋

4 117.386km 大分

5 117.352km 鳥栖

6 116.166km 横浜FC

7 115.434km G大阪

8 114.599km C大阪

9 114.147km 浦和

10 113.489km 仙台

11 113.083km 札幌

12 112.341km 広島

13 111.560km 神戸

14 111.205km 清水

15 110.027km 鹿島

16 108.940km 柏

17 108.303km 川崎F

18 107.142km FC東京

今季は前線のレアンドロ・ダミアンや家長昭博、長谷川竜也が相手を追い回すさまが印象的な川崎。

さぞ運動量が増えているのではと思いきや、走行距離は108.303kmとFC東京に次ぐ下から2番目。なんと昨季(108.747km)よりも走っていないのだ。これは驚き!

理由として、新フォーメーションの4-3-3はピッチ上に選手をバランス良く配置できることが挙げられる。奪われても近くの選手がすぐにプレッシャーをかけられるため、ミスを誘うなどでボールを素早く回収できている。

その分、3人しかいない中盤の対応が非常に難しいのだが、このポジションは川崎の強みの一つ。大島僚太、田中碧、脇坂泰斗、守田英正、下田北斗、そして大怪我からの復帰が近い中村憲剛と、それぞれ特長を持ち攻守に働ける実力者が顔を揃えている。

そんな強みを生かし、プレーの強度を上げて得点機会を増やしつつ、選手の身体的負担を抑える。川崎は今のところそれが両立できている。

とはいえ、過密日程はこれからが本番であり、新システムへの慣れも選手によってマチマチ。4節の柏戦、初めてアンカーに入った守田が試合が進むにつれて“立ち振る舞い”を身につけていったように、チーム全体で熟練度を高めていくことがリーグタイトル奪還の条件となる。