ネガティブな心が呼ぶ“怪我の連鎖”
――サッカーを始めたきっかけはなんですか?
子供の頃から休日に家族で公園に行って、野球やテニスなどいろいろなスポーツをやっていたんです。その中で、平日にも自分一人でやっていたのがサッカーでした。
――それから地元の少年団に入り、東京ヴェルディ1969のジュニア→ジュニアユースと進まれたのですね。
でも、中2ぐらいで怪我の“嵐”が始まってしまいました。それでユースに上がれなくて、家の近くにある桐蔭学園高校に行きました。インターハイを優勝した直後でしたね。ただ、僕はそこから怪我ばかりでした。
腰椎分離症(スポーツ動作によるストレスで起こる関節突起間部の疲労骨折)が酷くて、中学の時からコルセットを巻いていました。その時も半年ぐらいはサッカーを休んでいましたし、復帰してもどこかを痛めるという状況でした。
また大学3年生の時にも捻挫をしすぎてフットボーラーズ・アンクル(足関節の骨同士の衝突が連続することによって骨棘が発生するスポーツ障害)になり、両足首を手術しているんです。それでもサッカーをすると決めていたので、骨を削っていい形にしました。
その入院中に中学時代を見つめ直す機会がありました。そこで思ったんです。「メンタル面で負けていたな」と。
怪我をするまでは、本当にトップクラスの点取り屋だったんです。自分でも「一番うまい」と思うほど。それが分離症になってから半年間サッカーを休んで、いざ復帰したら「え?俺めっちゃヘタクソやん」と感じてしまったんです。
そこでメンタルが落ちました。復帰したあとも「どこかが痛み出したら休めばいい」という感じになっていましたね。中学、高校も半分くらい怪我で棒に振りました。なぜこんなにサッカーができないんだと思いましたよ。本当に辛かったです。ベッドでいつも泣いていました。
――やめようとは思わなかったのですか?
それでも思わなかったですね。大学で足首を手術した時、これは「頭の癖なんだ」と感じました。怪我も6~8割は「心から来ている」と。ネガティブな人間なので、今も悪いイメージが頭をよぎることもあるんです。
その時は「違う。それは自分らしくないぞ」と自分に語りかけたりしますね。変なイメージが来た、誰かが変な行動をした、変なことを言ってきた。そんな時は指を鳴らして「これはいらない考え方だ」と遮断します。
そして、逆にいい考え方なら吸収して自分のものにする。それを強く意識していますし、そういう自分に変化させたかった。だから本を読みまくりましたね。
怪我があって、手術があって、海外の経験があって、心が鍛えられました。