指揮官が重用するキーマンたち

独自のスタイルを貫く大木武監督が重用しているのが、アンカーの河原創だ。昨季に引き続き、今季もリーグ戦フルタイム出場を果たした背番号6はチームに欠かせない攻守の柱。正確なパスでリズムを作り、定評があるプレースキックで決定機を演出する。

機を見た攻撃参加も効果的で、1試合平均敵陣パス数およびアシスト数は41節終了時点でリーグトップの数値。バランス感覚にも優れており、今後経験を積んでいけば、ゆくゆくは浦和レッズで活躍する岩尾憲のような名バランサーへと成長しそうだ。

前線に目を移すと、右サイドでチャンスメイクする杉山直宏と得点源としてけん引する髙橋利樹が輝きを放つ。

リーグ屈指のドリブラーである杉山は、パンチ力のある左足が最大の武器で、特にカットインからのシュートとインスイングのクロスは絶品。巧みな連係プレーで崩し、最後は杉山の精密な左足ミドルでこじ開けた第28節・ツエーゲン金沢戦でのゴラッソは、7月度のJ2月間ベストゴールに選ばれている。

正確な左足はプレースキックでも活かされており、右利きの河原とは異なる球筋でセットプレーをデザインすることが可能。チームの引き出しとしてもプラスとなっている。

そして、杉山とともに攻撃をリードする髙橋は、チームトップのリーグ戦14ゴールをマークした屈強な本格派CFだ。裏への抜け出しなど機動力もあり、しなやかな身のこなしとポストプレー、前線からの積極的なプレスが光る。

今季記録したリーグ戦14得点を振り返ると、もっとも多いのが利き足である右足でのゴール(計8得点/PK含む)で、ヘディングでのゴール(計5得点)が次点。得点パターンを見ると、味方のクロスに合わせて決める形が半数を占めた。

エリア内での勝負強さが群を抜く“生粋の9番”は、コンディションが万全であれば、J1参入プレーオフでの活躍にも期待がかかる。