究極の理想と大迫勇也の存在
今季は負傷者がチーム内に出ても、佐々木が穴を埋める形で複数ポジションをこなすシーンもあった。本職顔負けのスキル、優れた戦術理解能力、フィジカルと技術を生かしたボールキープ、そして決定機を見逃さない得点力など並外れた活躍をしてきた。器用にさまざまなタスクをこなす佐々木には究極のプレー像がある。そして同僚FW大迫勇也の存在も大きかった。
――今季サイドアタッカー、インサイドハーフとさまざまなポジションでプレーして、リーグ戦30試合7得点2アシストとキャリアハイの活躍を見せています。振り返って今季の手応えや成長を教えてください。
手応えはチームも首位を走っていますからないことはないんですけど、自分の中でもっとチャンスシーンはありましたし、この数字をもっと大きく伸ばせたと思う。手応えはあったかもしれないですけど、満足はしていないです。
――私の主観です。佐々木選手のプレーを見ていて、同僚の得意なプレーを自身のプレーに反映する能力が非常に高いと思います。例えばセレッソ大阪戦のゴールは、京都戦で決めたパトリッキ選手のゴールと似ていますし、大迫選手のボールキープや手の使い方が似ている印象があります。味方選手のストロングポイントなどの研究や、自分のものにしようと工夫されているのでしょうか。
そうですね。自分のできる範囲内で盗もうというのは、日々練習から取り組んでいます。特にいま意識していることは、サコくん(大迫)という日本代表の中でも中心でやっていた選手が目の前にいて、それを練習から毎回見させてもらっています。
「タダで練習を終えるようなことはしたくないな」と毎日思っている。毎日サコくんがやっている、自分のできることを「これかな、どれかな」ということを考えながらやっています。その中で、ちょっとできれば自分のモノにしていきます。もともと持っているストロングは出しますし、特にサコくんは練習の中で意識していますね。
――大迫選手からアドバイスはいただいていますか。
練習の中で結構アドバイスしてくれますね。親身になってアドバイスしてくれていることが本当にありがたいと思います。アドバイスしてもらうだけじゃダメだと思うので、自分の中で盗めるところは盗むほうが大きいかもしれないです。
――佐々木選手が描いている今後成長した先の完成イメージはありますか。
すごくぜい沢なことを言えば「強くて、高くて、速くて、うまい」何でもできる選手像。昔からそうありたいと思っています。今年も30試合に出ていますけど、そんなに強くて、高くて、うまいイメージとはほど遠いんですけど…。でも自分の持っているものを磨けば究極「強くて、速くて、うまい、高い」を実現できるかなと思っています。
(チームには)そのストロングを持っている選手たちがいるので、だからこそ毎日盗んでいます。「強くて、高くて、うまい、速い選手」になりたいという究極(の理想)を思っています。
――究極の理想があるからこそインサイドハーフ、サイドアタッカーでも難なくプレーできるというか、戦術理解能力高い部分につながっているのでしょうか。
もしかしたらつながっているかもしれないです。意識はしていないです(笑)。
――今季は元スペイン代表アンドレス・イニエスタ選手が夏に退団されて、9月にフアン・マタ選手が来られました。イニエスタ選手、マタ選手と世界的なレジェンドと一緒にプレーして学んだことや刺激を受けた経験はありますか。
ちょっとプレースタイルが違い過ぎるので、プレーに関しては正直「マネできひんやん」と思っていたので(苦笑)。
精神面や普段のプライベートの部分で、フアンもアンドレスもチームの雰囲気を保つ、チームの士気を乱さないところがすごい。いろんなところで経験して、活躍している選手なんだとピッチの上でも感じさせられました。