これまでの起用法から見ても、今大会の守護神は鈴木が務めるはずだ。スケールの大きさは誰もが認めるところで、自身初となるA代表でのビッグトーナメントで実力を発揮し、今後の守護神争いをリードしたい。

2番手は2023シーズンのヴィッセル神戸を支えた前川だろう。キャリア初となるリーグ戦全試合フル出場を果たし、安定感抜群のセービングで神戸の戴冠に大きく貢献。ベストイレブンは西川(浦和)に譲ったものの、その存在は際立っていた。

明るい性格でムードメーカーとしても知られる前川は、21歳と若い鈴木&野澤をメンタル的に支える役割も担うはず。ピッチ内外でサムライブルーの力となるに違いない。

鈴木と同世代の野澤は、2023シーズンに台頭した有望株。武者修行先のいわてグルージャ盛岡で経験を積み(2シーズンでリーグ戦36試合に出場)、今季よりFC東京へ復帰。第22節のセレッソ大阪戦でスタメン起用されると、そこからポジションを奪取し、リーグ戦10試合に出場。元日のタイ戦でA代表初選出となった。

タイ戦のメンバー発表会見で森保監督は、「野澤選手はオリンピック年代で所属クラブやU-22日本代表の大岩(剛)監督の下で非常に力をつけていて、伸び代を期待して招集しました。経験値は浅いですが、自分が試合に出るというギラギラしたものを練習の時から見せてほしいです」と招集の意図を明かした。

スケール感は鈴木と同じモノがあり、足元の技術に優れる野澤は、これからの日本を背負う逸材。指揮官の抜擢には、アジアの厳しい戦いを体感させて、今後の成長につなげる狙いがあるはずだ。

過去のアジアカップを振り返ると、優勝した2011年大会はグループステージ第2節のシリア戦で川島が一発退場となり、西川が急遽出場した(西川は続く第3節のサウジアラビア戦でスタメン出場)。このようなアクシデントは今大会も起こり得るだけに、GK陣で最年長の前川にかかる期待は大きい。

J1に「強度時代」到来か。ヴィッセル神戸と町田ゼルビア、歴史的優勝がもたらした“転換期”。

フレッシュなGK陣が伸び伸びとプレーできれば、3大会ぶり5回目のアジア制覇に近づくはずだ。理想はグループステージ第1節のベトナム戦と第2節のイラク戦で鈴木を起用して連勝し、第3節のインドネシア戦で前川にゴールマウスを託す形だが、果たして――。

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