潮流に乗るより「オリジナル」
――すごい経験ですね…。その2年を経て、日本の選手への接し方に変わったところはありますか?
日本に帰ってきて、パワハラやセクハラなどハラスメント問題がとても大きくなっていることを感じましたね。気をつけなければいけないことが多くなったと思います。
あとは…私からの言葉じゃないですけど、選手には『本田さん、2年経って丸くなりましたね』と言われます。私、丸くなったんだと思って(笑)。成長したみたいです。
――これから女子サッカーの最高峰の試合であるシービリーブスカップ、パリ五輪と行われますね。選手にとって参考になるポイントや面白い注目点はありますか?
ポジショニングや配置、相手との組み合わせ、噛み合わせなど、そのようなところが池田太監督になってなでしこジャパンでも重要視されているように思います。もちろん1対1の部分や技術の精度などもありますが、組織的な部分でも戦える。
ヨーロッパでやっている選手も多いので、クラブでの経験値があります。ポジションをどう取れば数的優位が作れるか、どこが数的不利になっちゃうのか…それをなでしこジャパンでもやれることが多くなったように思います。
――世界では女子でも男子のようなフィジカル面が重視されるサッカーが増えてきたようにも思いますが…
全部を見たわけではないので世界の流れは分からないですけど、ワールドカップで優勝したのはスペインでした。唯一日本にだけ負けたチームが頂点に立っている。ですので、そのようなフィジカル系のサッカーが広がっているとも一概には言えないと思います。
そして、もしフィジカルサッカーが普及したとしても、日本が同じことをやれるわけでもありません。日本は日本でオリジナルのものをやっていくべきですし、それができると思います。
――日本代表の中で、なでしこリーグのプレーヤーにも参考になるようなポイントを持っている選手はいますか?
すみません、私自身が見ていないのでわからないんです。日本サッカーのリハビリ中なんです(笑)。
――そうなんですね(笑)予選で対戦はしましたけど、レギュレーションの影響もあってかなり奇妙な試合でしたしね。ウズベキスタンは大量失点で負けることだけは避けたい、そして日本は大量得点を狙う必要がなかった。そしてお互い納得したように2-0で日本が勝利するという結果になりました。
あれは、お互い得点を計算しながらの難しい試合でした。でも、それは最初からわかって臨んでいましたからね。
――すみません、お時間が来てしまいました。お忙しい中ありがとうございました、またお話聞かせてください!
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ウズベキスタンでの2年間を経て「丸くなった」と言われつつも、より尖ったところを持つ選手を生み出すための何かが必要だとも感じているという本田美登里監督。
全く異なった文化を経験した女子サッカーの名指揮官は、これからなでしこリーグでどのような戦いを見せ、どんな才能を育てていくのか。世界の女子サッカーが発展するなか、ますます注目が集まるところだ。
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