大会を通じて成長したイレブンが栄冠
流経大柏高との死闘を終えた山田耕介監督は「きょうの試合はPK戦じゃないと勝てないと思っていた。とにかく我慢して耐えて、なんとか勝つことができて良かったと思います」と安堵(あんど)の表情を浮かべていた。
高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグEASTで両校は2度対戦し、1勝1敗と互角の結果だった。それでも前橋育英ホームで行われた第6節は0-2で敗れ、名将も「勝負にならなかった」と完敗を認めるほど圧倒された。
アウェイでは2-0で勝利するも、試合内容は流経大柏高が良かったという。「このチームに勝たないと『日本一にはならないんだな』と思ってやっていました」というように、格上と見ていた相手に肉薄する死闘の末に白星を手にした。
今大会は接戦続きだった。初戦の米子北高戦、準決勝の東福岡高戦は2点差で勝利するも、2回戦の愛知工業大名電高戦はPK戦に突入し、3回戦の帝京大可児高戦、準々決勝の堀越高戦は1点差と僅差で勝利を収めた。そして決勝では前半12分に失点を許し、同31分にMF柴野快仁(はやと、2年-ウイングスSC)が頭で同点弾を挙げて1-1にするも、延長戦で決着がつかなった。
それでも息もつけない連戦を通じてイレブンがたくましく成長し、決勝でも粘り強さを発揮して大会を制した。
「接戦ばかりだったんですけど、どんどん成長、進化していった。(相手の)力が上でも彼らは粘り強くやってくれたので上出来だと思います」
大事な局面でPKを外し続けながらも、大舞台でシュートを突き刺した石井主将を筆頭に、イレブンの成長に名将は目を細めていた。
7大会ぶりの栄冠を勝ち取った進化するイレブンは有終の美を飾った。夏のインターハイ県予選敗退を経験したタイガー軍団は失敗を糧に、高校日本一の粘り強さを身に付けて全国制覇を果たした。
(取材・文 浅野凜太郎、写真 Ryo)