日本にGKを輩出するリーグに成長したKリーグ

外国籍GKの選手登録が禁止されて以降、韓国人GKが育つ環境へと整備されていった。Kリーグクラブは若いGKの育成やスカウトに力を注ぎ、高い身体能力を備えた選手が続々と現れた。

2009年からJ1セレッソ大阪でプレーする韓国人GKキム・ジンヒョンが火付け役となり、2016年以降はGKチョン・ソンリョン(J1川崎フロンターレ)や、柏レイソルとヴィッセル神戸でゴールマウスを守ったGKキム・スンギュ(サウジアラビア1部アル・シャバブ)、GKクォン・スンテ(元J1鹿島アントラーズ)ら、Kリーグの名門で活躍した守護神がJリーグに活躍の場を移した。

昨季J1では上記したチョン、キム・ジンヒョンに、京都サンガGKク・ソンユン、湘南ベルマーレGKソン・ボムグン(2025年シーズンからKリーグ1全北現代)ら、4人の韓国人GKがプレーした。一時期のような「韓国人GKブーム」は過ぎたものの、現在もKリーグからJリーグへ守護神を輩出し続けている。

川崎で10シーズン目を迎えるチョン・ソンリョン

今回韓国プロサッカー連盟が外国籍GKの登録について議論を始めた背景には、Kリーグが多くの守護神をJリーグへ輩出した実績が影響したためと考えられる。

また外国籍GKの登録を禁止した当時8クラブで行われていたKリーグだったが、現在は1部と2部を合わせて計26クラブ(2025シーズンより、華城(ファソン)FCがKリーグ2に参入)が所属している。

仮にいくつかのクラブが外国籍守護神を獲得しても、過去に起きたクラブの大半を外国籍GKが牛耳る事態にはならないだろうと連盟は予測している。

今季からACLでは外国籍選手枠が撤廃された。今後Kリーグ勢が、さらに競争が激化するアジアの戦いを勝ち抜くためには、GKのポジションに外国籍選手枠を充てる選択肢も必要になるだろう。

東欧とのつながりとポーランドの可能性

Kリーグで再び外国籍GKの登録が解禁された場合、どのような国から選手を獲得するのだろうか。いままでの同リーグの選手補強から推測すると、東欧諸国とのコネクションは無視できない。Kリーグではこれまで、多くの東欧出身の選手が活躍してきた。

特に旧ユーゴスラビア圏から、十分な実績を持った選手からポテンシャルを秘める若手選手がやって来た。神戸に在籍したFWステファン・ムゴシャ(モンテネグロ代表、Kリーグ2仁川ユナイテッド)は現役のモンテネグロ代表選手として2018年に仁川へ加入し、昨季1部得点王に輝いた。現在もKリーグでプレーしながら同国代表に選出され続けている。

仁川で活躍し、来季からJ3に参入する栃木シティFCに入団したDFマテイ・ヨニッチ(クロアチア)や、クロアチア代表として2022年のカタールワールドカップに出場したFWミスラフ・オルシッチ(キプロス1部パフォスFC)は、クロアチアの年代別代表の経歴を引っ提げ、全南ドラゴンズ、蔚山現代でプレーした。

Jリーグで圧巻のパフォーマンスを披露したポーランド人GKクシシュトフ・カミンスキー

東欧のGK大国として知られているポーランドは、プレミアリーグ・アーセナルで長きに渡って活躍したスペイン1部バルセロナGKヴォイツェフ・シュチェスニを筆頭に、プレミアリーグ・ウェストハムで守護神を務めるウカシュ・ファビアンスキ、イスタンブールの奇跡の立役者であるイェジー・ドゥデクと数々の名守護神を輩出してきた。

かつてJリーグで活躍したGKクシシュトフ・カミンスキー(同国1部ポゴニ・シュチェチン)とGKヤクブ・スウォビィク(トルコ1部コンヤスポル)が存在感を見せた。

多くのJクラブがポーランド人守護神の牙城を崩せずに苦しんだ。韓国にも日本で圧巻のパフォーマンスを披露したポーランド人GKたちの情報は入っているはずだ。

過去に4人のポーランド人選手獲得の実績がある済州SK FC(Kリーグ1)はもちろん、他の国内クラブも同国から優秀な守護神の獲得を狙うかもしれない。