納得できるまで続けたい
2022年にインドネシアへ活躍の場を移して初のシーズンでリーグ戦33試合10得点を記録。今季で4シーズン目となり、同国の外国籍選手では指折りのハードワーカーとして存在感を見せている。南国の島国で奮闘する山本に、サッカー熱やキャリアの目標などを聞いた。
――東南アジアでもデュエルが激しいといわれるインドネシアリーグの特徴を教えてください。
「(同国に来た)当時はもっと『外国人頼み』のサッカーでした。試合に負けたら『外国人のせい』という感じでしたね。だからチームとしても戦うんですけど、特に外国人選手は結果を出すために、例えばサポーターにいい印象を持ってもらうために、ポジションが後ろの選手はガツガツ行くなど目立つようなプレーをする選手が多かったです。
言ってしまえば個人プレーが多いようなサッカーだったので、そういう難しさがありました。インドネシアのローカルの選手もレベルの高い選手がいますけど、平均的にそこまで高いわけではなかった。そういう面でも逆に一緒のチームでやる難しさがありました」
――インドネシアで「これはすごかったな」という印象深いエピソードはありますか。
「インドネシアのサッカーですごいなと思うのはサポーターですかね。いまもそうなんですけど、特に人気のあるチーム、サポーターが多いチームはスタジアムが埋まります。あの雰囲気でやるサッカーは『プロとしてやっているな』と感じます」
――浦和レッズのサポーターと比べてもサッカー熱がすごいとわかります。
「浦和は小さいころ(応援に)よく行っていました。日本のサポーターはどんなときもすごく応援してくれるじゃないですか。負けていても応援してくれます。基本的には『頑張って負けたらしゃあない』『よく頑張った』と言ってくれるサポーターたちじゃないですか。
こっちは負けたら味方のチームのサポーターでも『お前何やってんだ』という感じで試合の途中から雰囲気が悪くなる…。ただ試合が始まるときは満員だとすごくサポートを感じたり、逆に相手チームはプレッシャーを感じると思う。そこは日本のサポーターと違うと思います」
――インドネシアのサッカーは成長している過程だと思いますけど、過去と現在の違いはありますか。
「そうですね。特にいまは自分が来た当時より外国人、選手、監督も含めたスタッフが増えてきている。(登録)枠も増えました。そういう面で試合のレベルは前よりもすごく上がっていると思います。
自分が来た1年目よりも圧倒的に今年のほうが上がっていると思いますし、監督も外国人の監督がすごく増えたので戦術的な部分、オーガナイズはすごく良くなってきています。
ただ逆にマネジメントがインドネシア人なので、マネジメントとスタッフ、現場の選手、監督たちとのギャップが生まれたりとか。また違う問題があり、最近よく聞いていますね」
――違う問題とは。
「例えば意識の問題ですね。試合に対する意識、試合に集中したいから選手と監督はストレスを抱えたくないじゃないですか。
ただそこでマネジメントはそういう部分を分かっていないのか、気にしないのか自分は分からないんですけど、こっち側がしてほしいマネジメントやオーガナイズをしてくれなかったりすると、そっちにエネルギーを使わないといけなかったりして…。そういう部分はまだあります」
――現在所属しているペルシス・ソロは今シーズン残留を確定させましたが、苦しい1年となりました。来季への展望を教えてください。
「いまの段階ではまだ正式なリリースは出ていないですけど、一応合意してほぼ残ることは決まっています。個人的な目標でいうと、来季はいままでの中で一番いいシーズンにしたい。毎シーズンそうなんですけど、いままでのシーズン中で一番いいシーズンにしたいと思っています」
――キャリアの目標としてはどういうところに設定してるんですか。
「28歳でもう若くはありません。周りを見ればこのチームでは18歳の選手がいます。だから意外と『引退』というのがちょっと見えてきたりするんですよ。
まだまだ引退する気はないですけど、一つ目標としているのが35歳までは続けられたらいいなと。そこまでやるためにパフォーマンスと、いろいろなものをやれたらいいと思います。ただ単に続けるというのはやりたくないので、自分が納得できる状況の中で続けたいと思っています」
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