ノッティンガム・フォレスト(プレミアリーグ)のファンが見せた勇気ある行動に称賛が相次いでいる。
現地時間1日に、イングランドのドンカスターからロンドンに向かう列車内で事件は起きた。
午後7時42分ごろに乗客から通報があり、列車はケンブリッジシャー州のハンティンドン駅で緊急停止。列車内では複数の乗客が刺される事件が発生していた。
このとき列車内に乗車していたノッティンガム・フォレストのファンであるスティーブン・クリーンさんは、刃物を持った犯人に立ち向かった。『BBC』に当時の状況を伝えている。
「リュックサックを背負った男がこちらに向かってくるのが見えました。明らかに中に何か入っていました。みんな(乗客)はビュッフェの方へ行ってしまい、そこはもういっぱいで他に誰も入れませんでした。私は押し入って入ろうとも思いませんでしたね」
「若い女性がいたので、中に入れなければいけないと思いました。ドアが施錠されているか確認し、少しでも時間を節約するために周囲を見回してからその男に立ち向かいました。ところが、男は何か取り出し始めたんです。それは大きな刃物でした」
「死にたいのか?」とつぶやいていた犯人と取っ組み合いになったクリーンさんは、体に複数の切り傷を負ったが、その後武装した警官によってアンソニー・ウィリアムズ容疑者が逮捕された。なお、クリーンさんを含む複数の負傷者が病院に搬送された。
同事件を受けて、ノッティンガム・フォレストはクリーンさんと同乗者に対して「クラブは、多くの人が並外れた勇気を示し、それが間違いなくさらなる被害を防ぐのに役立ったことを認識しています。ノッティンガム・フォレスト・ファミリー全体が、彼らの回復をしっかりと支えていきます」と声明を発表。クリーンさんの勇気ある行動を称えた。
クラブは事件後にクリーンさんを支援するために開設された募金サイトに1万ポンド(約200万円)を寄付しており、同サイトには既に5万ポンド(約1000万円)以上が集まっている。(7日時点)
なお、クラブはクリーンさんに対して2026-27シーズンのシーズンチケットを無償提供し、チームと共にUEFAヨーロッパリーグの試合に帯同し、チームホテルに宿泊し、クラブ代表団と共にディレクターズボックスで試合を観戦するよう招待したという。
ノッティンガム・フォレストのオーナーを務めるエヴァンゲロス・マリナキス氏は、「ノッティンガム・フォレストの全員が、今回の出来事に衝撃を受け、深く悲しんでいます。あの列車に乗っていたサポーターの皆さんが示した勇気と無私無欲は、まさに人間性の真髄であり、クラブ・コミュニティの真髄です」と述べた。