中山雄太

筆者にこの試合の日本代表におけるMVPを決める投票権があるならば、彼の名前を間違いなく書き入れるだろう。2失点を喫し、試合に敗れたことは事実であるが、それらを忘れさせてしまうほどの出色のパフォーマンスを見せていた。

今季の彼は、所属する柏レイソルで積極的に守備的ミッドフィルダーの位置で使われ、監督が下平隆宏から加藤望に変わってからは、「継続的起用」の可能性が高まっているが、彼ら指揮官がこのポジションで起用したがる所以はこの試合でもわかったことだろう。

両チーム通じて最多のボールタッチ数「105」を記録し、パス成功率も91.4%のハイアベレージ。

ビルドアップの向上を目指すこのチームにおける戦術的キーマンとなり、前半15分には小川に決定機をもたらすスルーパスを、39分にはバイタルまで攻め上がり、狭いパスコースを狙って三好に鋭い縦パスを打ち込むなど、攻撃面でも圧倒的なプレゼンス(存在感)を放った。

肝心な守備でも周囲の前線からのプレッシングに呼応して、積極的なインターセプトから何度かボール奪取に成功。さらに、そこからワイドに展開するサイドチェンジも効いていた。

対人守備や運動量の面では評価がわかれるところではあるが、ポゼッション志向の高い海外クラブが好みそうな近代的な守備者であるため、この大会に参加しているスカウト陣のチェックリストには入ったかもしれない。