過去をさかのぼると、2004~2005年には浦和の強化本部スタッフを務めた。この時、トップチームのコーチとしてともに戦った柱谷哲二氏は、「(分析能力は)びっくりしましたね」とDAZNでの解説時に語っている。
大槻監督が義理人情に厚い人物であることは、川上とのエピソードからも伝わるが、最大の武器は分析能力の高さである。その意味で、ここ数試合の群馬が直面する課題をどのように解決するか、という点は大変興味深い。
特徴的な群馬の<3-3-2-2>に対し、ハイプレスまたはマンツーマンディフェンスで対抗しようとするクラブが増えてきているのだ。
「群馬対策」を乗り越え、クラブの転機をJ1で!
第33節の町田ゼルビア、第35節のいわきFCなどザスパクサツ群馬の<3-3-2-2>に対し、ハイプレスで対抗する相手は増加傾向にある。特に用意周到だったのが、第34節で対戦したV・ファーレン長崎だ。
<4-2-3-1>で臨んだ長崎は、守備の際に1トップのフアンマ・デルガドとトップ下の中村慶太が群馬の3バックを高い位置で監視。天笠泰輝に左ボランチのカイオ・セザール、風間宏希に右サイドハーフ(以下SH)の澤田崇、川上エドオジョン智慧に左SHのマルコス・ギリェルメがマンマークでつく形を取り、徹底的な「群馬対策」を披露した。
群馬の3バックは前を向いた際、中盤3人が自由を奪われていたため、出しどころに困る結果となった。いつものようなパスワークを発揮できなかったことにより、思うようにリズムをつかめず、試合は1-2で敗れている。
ハイプレスまたはマンツーマンディフェンスをかいくぐるには、相手の狙いを逆手に取る策が必要となる。
大槻毅監督はすでに、リベロの城和隼颯による持ち上がりやゴールキーパーの櫛引政敏からのロングフィードといったプランを実行に移しているが、ボランチの風間にも期待したい。
足元のテクニックに優れ、正確なパスでタクトを振る風間は、ポゼッションに欠かせない司令塔。過去に川崎フロンターレ、FC琉球といった攻撃サッカーを展開するクラブでプレーした経験は、やはり頼りになる。
「群馬対策」が進む中、チームとしていかに風間にボールを触らせるか。大槻監督およびコーチ陣のアイデアが楽しみだ。