超逸材の台頭により窮地に
だが2022-23シーズン、順調だった彼のキャリアに暗雲が立ち込める。それが小久保より3歳も若い(学年では4歳年下)アンドレ・ゴメスの台頭である。
ポルトガルの年代別代表で守護神を務めるアンドレ・ゴメスは、『2004年生まれで世界最高のタレントの一人』と評価される超逸材。クラブはその彼を優先的に起用し始め、それにより小久保は再びU-23チームに逆戻りとなってしまったのだ。
それでもアンドレ・ゴメスが昨年5月に肩を負傷して長期離脱すると、小久保は今シーズン開幕からBチームの正GKを任され、そこで評価を高めてトップチームに「4番手」として昇格する。だがそれも束の間で、今年1月にアンドレ・ゴメスが怪我から復帰すると再びBチームのポジションを明け渡した。
今年2月以降はトップチームに帯同するものの、守護神であるウクライナ代表GKアナトリー・トルビンの「ウォーミングアップ相手」として扱われており、Bチームも含めてベンチ入りさえほぼできていない状況が続いている。
これが現在の小久保の状況なのだ。
小久保は過去にジョアン・フェリクス(現アトレティコ・マドリー)、ダルウィン・ヌニェス(現リヴァプール)、現在ならアンヘル・ディ・マリアらとのシュート練習にも付き合っているようで、自身もそのレベルの高さや価値を強調している。
そもそもベンフィカというクラブは近年だけでもヤン・オブラク、エデルソンといった名GKを輩出しており、現在も守護神がウクライナ代表のトルビン、控えがポルトガル代表のサムエウ・ソアレス、3番手が上述のアンドレ・ゴメスと世界的にもハイレベルな環境で、出場すること自体が難しい。
ただそうはいってもこのままBチームでさえ出場機会が得られないのであれば、この先を考えなければいけないだろう。特に来年で24歳になる小久保が出場する舞台はこれまで以上に限られてくる。
Xのフォロワーが5万人を超え、ベンフィカの情報を毎日発信しているアカウント『Coluna Vermelha』は、「フィジカル面で彼は興味深いGKだ。彼自身のキャリアを考えると、ベンフィカが彼を第4GKとしてとどめておくのは意味がない」と退団を勧めている。
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かつて自身をベンフィカへと導いたカタールの地で五輪の切符を掴み取り、自身としても新たな未来を切り拓くことができるだろうか。この先の戦いに注目したい。