育成に力を入れるウズベク
旧ソビエト連邦構成国のウズベキスタンは中央アジアでは最多の人口約3679万人(Statistics Agency of Uzbekistan 2023)の大国であり、サッカーは同国で最も支持を集めている。
これまでウズベキスタンはソビエト1部リーグでウズベク人で史上唯一得点王(1968年)に輝いたFWベラドル・アブドゥライモフやウクライナ1部ディナモ・キエフでリーグ得点王となったFWマクシム・シャツキフ、そして同国代表最多得点記録を更新したイタリア1部カリアリFWエルドル・ショムロドフなど優秀な選手を輩出してきた。
だが優秀な選手を輩出しているものの、同国はワールドカップに出場歴がない。アジア有数の強豪国と数えられる同国は2011年開催のAFCアジアカップでベスト4に入るが、国際大会とは無縁という実力に見合わない結果が続いていた(育成年代では2003年にワールドユース選手権に出場)。
同国の若手選手は国内リーグでロシア、ウクライナ、カザフスタンなど旧ソビエト圏の欧州リーグへのステップアップが多い。これまで国内育成もソビエト、ロシアの育成メソッドが導入されているため、旧ソビエト圏のリーグでプレーしやすい土壌も形成されている。だが日進月歩の勢いでサッカーのメソッドは進化する現状に取り残されるリスクが介在していた。
近年は旧ソビエト圏以外のリーグで活躍する選手が増加傾向にあり、カリアリでプレーするショムロドフやRCランスで活躍するクサノフと西欧のリーグでプレーする選手が登場した。育成年代ではイングランド1部ブレントフォードのBチームに入団したMFムハンマダリ・ウリンボエフやドイツ1部ライプツィヒの下部組織に所属するDFダヴィド・ベルヤフスキーがいる。
このためウズベキスタンの若手選手は旧ソビエト圏以外の欧州各国クラブから注目され始めており、状況は緩やかに変わりつつある。
昨年ウズベキスタンのサッカー界で新たな施策が動き出した。ロシアの通信社『スプートニク』が、国内初のナショナルフットボールセンターをシャフカト・ミルジヨエフ大統領の大統領令により創設することが決定したと報じた。
このナショナルフットボールセンターはコーチ、審判、アナリスト、スカウト、スポーツ心理学者、マネージャー、マーケティング担当者と多岐に渡る専門家の育成と研究を目的とした機関を発足する。この他にも代表チームのトレーニングセンター、リハビリテーション施設の設置も決定したという。
欧州の最新メソッドなどの導入が期待されており、五輪出場を決めたウズベキスタンは悲願のワールドカップ出場を達成するため本腰を入れている。
東南アジアは列強に食い込むか。評価急上昇中のインドネシアが見せる野心と実力
ウズベキスタンは当然AFC U23アジア杯優勝を目指しており、五輪という大きな国際舞台で経験を積んで悲願のワールドカップ出場につなげる構えだ。大きな野心を抱く同大会最強の敵と日本はどのような熱戦を繰り広げるのか。プライドをかけた激闘から目が離せない。