『札幌のブレイブハート』が勝利へ導く

この日対戦したいわきは最先端の科学的知見に基づくフィジカルトレーニングで鍛え上げた選手がそろっており、身体能力を生かしたセットプレーからの攻撃に定評がある。

平均身長178センチの相手イレブンと、GKの中では小柄な身長179センチの菅野との対決となったが、誰よりも素早くボールの落下地点に入る無駄のないプレーでいわきのセットプレーを防いだ。

素早く落下点に入るパンチングでピンチを防いだ菅野

「きょうも相手がフィジカルを前面に出してくるチームでしたけど、気持ちも含めて確実に僕は上回ってたと思います。昨日(10日)は移動のトラブルがありましたけど、誰一人もその言い訳をせずにグラウンドに入った。結果的には引き分けでしたが、すごくいい姿勢でできていると思います。それを続けていけば、必ず明るい未来が待っていると思った」と前を見据えた。

イングランドやスコットランドでは勇猛な選手を『ブレイブハート(勇敢な心)』と称して尊敬する文化がある。実際に元イタリア代表MFジェンナーロ・ガットゥーゾがスコットランド1部レンジャーズで激しくも、熱いプレーでチームをけん引して、その愛称で呼ばれた。

脳震とうの疑いから復帰した選手は接触プレーや対人プレーを恐れる選手も多々いる中で、菅野は臆することなく進んで窮地(きゅうち)へかけ進み、何度も札幌を救った。そして失点後に落ち込むイレブンを叱咤激励し、このチームを勝利に導こうとする姿勢はまさに『札幌のブレイブハート』だった。

菅野は「怖がらないことですかね。常にチャレンジすることは、それをやめてしまったらもう終わりだと思う。とにかく怖がることはないし、ミスをしても別にそれが返ってくるわけではない。

ミスした後、人はそのミスをしたくないような、安全なプレーをしがちなことが多いと思う。僕含めて、そういうことをやっているようじゃ絶対に個人として前へ進めない。そういう姿勢を誰一人崩さなければ、絶対に僕は前に進めると思う。みんな意識してやっているところがあります」と、プレーや振る舞いでイレブンを精神的にも支えた。

安定感のあるセービングでチームを支えた菅野

菅野は精神的な支柱としても存在が大きく、守護神の復帰はクラブのカンフル剤としての期待が大きい。勇気を持って、チームを正しい方向へと導く『札幌のブレイブハート』はチームにとって必要不可欠だ。

次節は17日午後2時にホームでカターレ富山を迎え撃つ。背番号1は「本当に勝利以外、僕はないと思います。正直、今シーズンまだ試合に出て勝っていないんです。何も貢献できていないと思っています。試合に出て勝つ、ゼロに抑えることもできていません。とにかく個人としてはゼロ(完封)だと思いますし、そしてチームとしては必ずホームで勝利する」と言葉に力を込めた。

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開幕4連敗と修羅場を経験しながらも着実に立て直しつつあるチームは、『札幌のブレイブハート』の帰還により状況は大きく好転していくだろう。小柄ながらも偉大な守護神・菅野のプレーから目が離せない。

(取材・文 高橋アオ)

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