大迫勇也は放置?

日本代表がワールドカップへの切符を掴んだ立役者の一人は大迫勇也で間違いないだろう。

ドイツで培ったフィジカルコンタクトにおける強さや体の使い方の巧さは、「縦に早いサッカー」を志向するハリルホジッチからは重宝された。

言わずもがな、日本人FWの中では最も総合能力に秀でており、監督が西野に変わろうともその優位性が落ちることはないだろう。

しかし、このところの彼のパフォーマンスを見ると、少々苦悩しているように感じる。

上述した守備面では、後ろが連動しないことにより「徒労のチェイシング」に終わってしまうばかりで、この現象はスイス戦でも顕著であった。

このところ、決定機で余裕がない(決定機で周りとタイミングが合わない)シーンが散見されるが、明らかに守備時にスタミナを摩耗させてしまっていることがその一因だろう。前半途中に腰を痛めてピッチを退いたが、彼が負傷交代することも必然であったように思うし、仮に出場し続けても後半の早い段階で「ガス欠状態」に陥ったことは想像がつく。

チームとして、最もゴールに近い位置でプレーするべき選手に適した仕事を与えられる環境を作らない限り、渇望しているゴールは遠のくばかりだ。

「2トップにしてタスクを軽減させる」、「1トップで続けるならばトップ下に運動量と献身性を起用してサポートさせる」など、戦術的な工夫を求めたい。

結局、どう戦う?

ガーナ戦、スイス戦が終わり、本大会までに残す試合はいよいよパラグアイ戦のみとなった。

2010年の南アフリカ大会の時のように非公開の練習試合を急遽セッティングするケースは起こり得るが、いずれにせよ、もう猶予はない。

そして、この状況下で最も不安な点は、チームとして目指すゲームモデルが全く見えてこない点だ。

こうなることは、今から二か月前に「解任騒動」が起きた時からある程度は覚悟していた。

しかし、「弱者のサッカー」に徹する気があるのか、「彼ら(特定の選手たち?)が挑戦したいサッカー」を試みるのか、もしくは、対戦相手やシチュエーションによって使い分けるのか…がここまで見えてこないのはただ不安でしかない。

これまでの過程でわかったことは、「スタメン組」と「控え組」の序列。ハリルホジッチ時代から大して変化のない実情。選手たちが「自由」と「やりやすさ」を手に出来たことぐらいだろうか。

少なくとも「コミュニケーション不足」はなく、監督と選手が共通理解を持てていると信じたい。