「セルビアの女子サッカーを牽引する」スパルタク
セルビアサッカー界といえば、男子代表の監督はドラガン・ストイコヴィッチで、W杯にもコンスタントに出場し、ツルヴェナ・ズヴェズダ(レッドスター・ベオグラード)は男子CLグループステージに出場中。国際大会でも常連国といった扱いだ。
その一方、女子の代表チームは未だW杯の出場歴はない。国内の女子リーグもまだまだ発展途上で、環境面でも待遇面でも改善が必要というのが現状だ。
その中でスパルタク・スボティツァは国内リーグ14連覇中。セルビア女子A代表に招集される選手のうち、実に半数以上はスパルタク出身か現所属選手という超名門クラブである。ホームタウンはハンガリーとの国境の街スボティツァで、昨年の女子CL予選ラウンド1はスパルタクがホストとなってこの街で開催された。
私はその時スパルタクの男子チームに日本人選手が所属していたこともあり、偶然この街に滞在していた。その日の予定がキャンセルになってフリーだったところに、フォトグラファーを探していたクラブ関係者から声をかけられて憧れのUEFAチャンピオンズリーグ(当時は「男子じゃなくて女子だけどね」と思っていたが…)を撮影することになった。
それ以来、国内のリーグ戦ではアウェイにもチームバスで帯同したりもするようになり、スパルタクから何人も招集されるセルビア代表女子のW杯予選を撮影する機会にも恵まれ、そしてその写真がセルビアサッカー協会のウェブサイトに掲載されたりと、すっかりセルビア女子サッカー界の人間になっている。
女子CLの予選ラウンド1は「ミニトーナメント」形式
今年のUEFA女子CL、スパルタクはデンマークで予選ラウンド1を戦うことになった。ミニトーナメント形式で、まず1回戦でフェロー諸島リーグ優勝クラブ(KÍ)と対戦する。
それに勝てば、デンマークリーグ優勝クラブ(HB Køge)対フィンランドリーグ優勝クラブ(KuPS Kuopio)の試合の勝者と、ラウンド2進出をかけての決勝を戦うことになる。
9月6日の1回戦はたぶん勝てる…という前提で、私は9月9日に行われる決勝に向け、チームを追いかけてセルビアからデンマーク入りすることにした。
私がセルビアで男子A代表のEURO予選を撮影したりと忙しくしている間に、予想通りスパルタクは1回戦を7-0の圧勝で終えた。決勝は本命視されていたホストのHB Køgeではなく、フィンランドのKuPS Kuopioとの対戦になった。
どちらにしても、チームフォトグラファーとして海外遠征するのは初めての経験、まずは重い撮影機材一式とともにデンマークへ飛び、無事にチームに合流しなければならない。
コペンハーゲンでチームが滞在しているホテルにたどり着きさえすれば、あとはチームバスで自動的にHB Køgeのスタジアムまで連れて行ってもらえるはずだ。