水戸からタイへ渡った経緯
そして今年に入って3季過ごした水戸からタイの強豪ブリーラム・ユナイテッドへ完全移籍した。ブリーラム移籍の経緯、そしてキャリアの展望を語った。
――ブリーラム・ユナイテッド移籍の経緯を教えてください。
タイに来たときに「なんで日本からわざわざタイに来たの?」と聞かれました。「なんでだろう」と確かに思ったけど、でもACL(AFCチャンピオンズリーグ)に出ているクラブだから別にタイに行ったからキャリアの終盤になるわけじゃないと思ったんです。
逆にここで活躍してまたJ1の舞台に戻ることや、ヨーロッパに行ったりと。実際に去年(タイに)いた選手でいまベルギーのチームにローンしているタイ人選手がいるので、ヨーロッパへの道が閉ざされたわけでもないです。
新たなチャレンジとして自分がどこまでやれるのかを示せたらと思っています。オファーが来たときにすごく悩みました。水戸から出ることは決めていたんですけど、Jのクラブとブリーラムでどうしようかと悩んで、今回(タイ行きを)決断しました。
――欧州移籍、タイでもプレー経験のあるフィリピン代表の同僚である佐藤大介選手にも今回の移籍を相談されていたと聞きました。
はい、「どうなの?」と相談しました。僕が1番怖かったことはサッカーに専念できない環境が1番嫌だったんです。それこそ給料の未払いも何チームかまだタイ1部でも下のほうではあるみたいです。そうなったらサッカーに集中できないし、家族にも迷惑かけてしまうからそれは嫌だなと思っていました。それで色々相談させていただきました。
――実際にタイの環境はいかがですか。
「こんなクラブがアジアに何チームあるんだろう?」というくらい環境は申し分ないですね。ブリーラムはバンコクから車なら6時間ぐらいで、飛行機だと飛んだら50分くらいで着きます。ブリーラムの練習場、スタジアム、クラブハウスと施設もあって、バンコクで2試合連続試合があるときはバンコクにも宿泊施設が付いている練習場もあります。基本的にサッカーをするには申し分ない環境だし、すごく衝撃を受けました。
――ブリーラムでの目標を教えてください。
「3年連続3冠」がブリーラムでのいまの目標ですね。ブリーラムは昔「2年連続3冠」を取ったときがあるんです。「3年連続3冠」はまだタイリーグ史上ないらしくて、(現タイ代表監督)石井(正忠)さんときから(数えて)3年目になります。リーグでいま2位(3月28日時点で首位)に付けているんですけど、「3年連続3冠」を取るチャンスがまだ残っています。そのタイミングで加入できたことはもちろん「3年連続3冠」を取るために呼んでいただいたというのもありますし、そのミッションを果たすためにも頑張りたいです。
※FAカップは2月28日に3次ラウンドで敗退
――最後にキャリアの目標を教えてください。
サッカーというより、僕は水戸のときにフィリピンの子供たちやフィリピンの孤児院の子供たちにTシャツプレゼントをさせていただいていたんですけど、これを自分の規模でもっと多くの人たちを巻き込めるようにやっていきたいです。
そのくらいのことをするためには、もっと影響力のある選手にならないといけないし、そうなったら必然的にサッカーでもっと上に行く必要があると思っています。
まだヨーロッパに行くことを諦めてないし、ヨーロッパの舞台で活躍できるようなサッカー選手になりたいです。
育成年代ではフィジカルモンスターとして注目を浴びたタビナスは、川崎や岐阜での挫折も経験しながら逞しく成長した。
【インタビュー】タビナス・ジェファーソンが語る争奪戦となった高校時代、刺激を受けた同期、水戸での経験
現在はフィリピン代表の守備の要として、東南アジア有数のセンターバックとして注目を浴びている。だが男の歩みはまだまだ止まる気配はない。さらなる成長を遂げて、旅路の先にある成すべき夢を叶えて見せる。
【Qolyインタビュー】パリ五輪出場の東京ヴェルディMF山田楓喜、トッテナムのクルゼフスキを「自分の究極系」と語るワケ