勝利を呼ぶ男がJ1復帰へと導く

山形加入後に土居はすぐに結果を出した。個人としてはリーグ戦11試合4得点1アシストと攻撃をけん引し、チームは9勝1分1敗と勝利を呼び込んでいる。そして第30節から第35節まで破竹の6連勝と、現在勝点57で7位の山形は、J1昇格プレーオフ(PO)圏内6位仙台と勝点差1に付けて猛追している。

10季ぶりのJ1復帰に向けて、常勝鹿島に数々のタイトルをもたらしてきた男の活躍に、多くの期待が集まっている。

――初めてのJ2で加入後10試合4得点1アシスト(現在10月20日現在、11試合4得点1アシスト)。すぐにアジャストできた理由を教えてください。

「何ですかね…難しいな。(逆に)なぜでしょうか(笑)。僕が合わせているというより、みんなに合わせてもらっているところだと思います」

――加入後8勝1分1敗、とチームは5連勝(現在10月20日現在、9勝1分1敗で6連勝中)です。

「雰囲気がいいと思います。みんな明るく、ロッカーでもしょうもない話をしていますし、スタッフも含めてお祝いごとでみんな一つになって喜んでいます。そういう小さなことからいい雰囲気、いい循環が生まれていい流れにつながっていると思います」

――昇格争いとタイトル争いに違いはありますか。

「(チームが)目指すものは一緒だと思います。『目標に向かって進んでいく』という意味ではそんなに大きな差はないと思います」

――山形は鹿島に公式戦で1度も勝利していません。来季J1に昇格した場合、鹿島と対戦する機会があればサポーターは初勝利を渇望すると思います。

「まず戦えるように現状を頑張らないといけません。もし戦えたとしたら楽しみですね。どうやって倒せるか。自分の力で変えられたらと思います」

前線からボールをチェイシングする土居(左)

――残り試合、J1昇格POに向けての意気込みをお聞かせください。

「POといってもまだリーグ戦は残っています。1試合、1試合気の抜けない試合が続きます。僕らはまだPO圏内にも入っていませんし、入ってからもきっと気が抜けないと思う。

やり方を変えるとか、気持ちを緩めるとか、残り4試合で積み上げてきたものを全員で目の前の敵にぶつけるだけだと思っています。その準備をしっかりして、みんなで勝ってPOを迎えられるように、それを続けるだけだと思っています」

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取材後に「表情も雰囲気も柔らかくなりましたね」と伝えると、土居は「ストレスや、いろんなものから解放されたからだと思います」とほほ笑んでいた。常に勝利を求められる王者から、J1復帰を目指す挑戦者として戦う背番号88はサッカーを純粋に楽しんでいるよう見えた。逆転J1昇格PO進出を目指す山形を、故郷に帰還した土居が戻るべき頂きへと導いてみせる。


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