それでもクラブが楽観視する3つの理由

スペインのクラブは毎年の風物詩のように登録問題を抱えながら、時には開幕に選手登録が間に合わなくても無事試合は行われ、何事もなくシーズンは始まる。

前日までに危機的な状況でも数時間単位で登録が進む、ギリギリな状況はラテン気質といってはそうかもしれないが、それ以外にも裏技が多数あるからだ。

プロ契約は25名でもB登録がある。

1つはラ・リーガは選手登録(プロ)は25名までで背番号1-25をつける決まりがある。ところが、Bチームの選手も26番以降の背番号を付けてプレーすることができる。1試合に最大6人までが登録でき、4名まで同時に試合出場できるルールがあるからだ。

今回のケースでいえば、

つまり若い有望株の選手をBチームの選手としてしまえば、試合には出場できるのに枠は1つ空く計算になる。今回のレアル・マドリーでいえば、アルゼンチン代表MFフランコ・マスタントゥオーノをBチーム登録としている。このことで選手登録からそもそも逃れさせる方法だ。

長期離脱枠の存在

もう1つは長期離脱による選手登録外による措置だ。「長期離脱枠(baja de larga duración)」というもので、クラブのトップチーム登録選手が5か月以上(診断書ベース)出場できないと認められた場合、登録外とするかわりにその選手のサラリーキャップ(年俸枠)が計算から除外される。そして、その枠を使い、代替選手をそのシーズン中もしくは離脱選手が復帰するまで登録できるというものだ。

今回でいえば、バルセロナのテア・シュテーゲンが腰の手術後5カ月以上の離脱となり、ジョアン・ガルシア(Bチーム)をトップチーム登録しようとしたが、一時的にもめた。

保証金を支払う(Aval)

今回、バルセロナが狙っているのが「Aval(アバル)方式」と呼ばれる保証金制度だ。実は、ラ・リーガではサラリーキャップ超過時の“例外登録”制度があり、登録予定選手の年俸総額と同等の額を保証金として預けることで選手登録ができるという制度があるのだ。

その保証金は、サラリーキャップを満たした場合には後に返還をされる。

スタジアムの開発『Espai Barca』

こうした裏技的な手法とは別に根本的に売り上げをあげようというのがバルセロナだ。

バルセロナの借金問題はかねてから取りざたされていた。2021年6月時点の純負債は、LFP基準で約6.8億€。総負債は13.5億€ユーロ(短期債務約5.96億€)年俸が収入の103%に達していた危機的な状況になったからだ。そのため、放映権を売却するなど「パランカ=財政のてこ」と呼ばれる手法で資金調達を進めてきた。

バルセロナはそんな中で一発逆転の目を狙っている。それが、ラポルタ会長のすすめる『Espai Barca』計画だ。スタジアムとその周辺を開発することで、音楽のライブを呼び込んだり、ショッピングセンターやホテルを併設するものだ。サッカー以外での収益を上げることで、サラリーキャップに使えるお金を増やそうというもので、完成すればスタジアム収入が毎年 2.47億ユーロ 程度得られると試算がされている。

だが、当然一時的に借金額もあがる。

バルセロナの元会長候補、ビクトル・フォント氏が『Larazon』で出した資産では2024年10月の通常負債は13.02億€(短期:5.77億、長期:7.25億)と少しずつではあるが減っている。しかし、Espai Barça関連の負債11.82億€を加えると、合計で24.84億€となると試算された。さらにバルセロナは5%以上もの利回りを要求されている。

そのため、毎年サラリーキャップに振り回されるドタバタ劇が繰り広げられている。

それでも、6月27日に、『Espai Barca』の債務を長期借り換えに成功するなど明るい兆しはある。新スタジアムが紡ぐ新しい未来へ向かって今は我慢の時なのだ。

まとめ

開幕前の風物詩となったドタバタ劇、このようにラ・リーガでは毎シーズンのように開幕前には各クラブがサラリーキャップとにらめっこしながら、選手の補強と放出を推し進めている。

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